コロナウイルスの蔓延による社会の変化は個人の力ではどうしようもありませんが、それぞれの人生に及ぼす影響が吉と出るか凶と出るか、生き方によって変わる部分もあります。

 

何軒ものレストランを経営する実業家の男性と婚約し、6月に挙式予定だった女性が婚約破棄したという話をネットで目にしました。男性にとってはこれ以上ない不運に見えます。外食業はコロナ禍によって最もダメージを受ける業種ですし、支えてくれるはずの婚約者にも捨てられて…。でも、見方を変えればお金目当ての計算高い女と結婚せずにすんだのは幸運かもしれません。そんな女と結婚したら、離婚する時もさんざんもめるし莫大な慰謝料も請求されるかもしれませんが、コロナのおかげできれいに別れられたのですから。

もしこの男性が自暴自棄になって落ちぶれてしまうとコロナが不運しかもたらさなかったことになりますが、店は手放すことになっても経営能力のある人なら、コロナが収まった後に再起することも可能でしょう。そして、お金目当てではなく気の合う女性と知り合って結婚するという展開だってありえます。まさに「禍福はあざなえる縄のごとし」。

 

昨日(5月1日)の朝日新聞「私のおこもり術」の第一回は作家の佐藤優氏。

2002年、佐藤氏は国策捜査により512日間、拘置されました。3畳間と板の間だけの檻に入れられ、朝7時から夜9時までは畳の上に座っていなければならず、ネットはないし、読書するしかなかったようです。

 拘置所の状況に適応できた理由としては、読書をすることが大きかったと思います。外に出られないから内に入って行った。人と会う行為を禁じられた状況で自分の内面に向けて深く内省していったのです。書物との対話ですね。作家になる基礎を作ってくれたのがあの512日だったと思います。

 

外出自粛で暇を持て余してアルコールに溺れる人もいれば、将来のためにインプットを強化したり、ITを駆使してネットワークを広げている人もいます。

コロナ禍はこれまで経験したこともない日々を私たちに強いていますが、数年後、数十年後に「コロナによって自分の人生はこう変わった」と振り返るとき、禍ではなく福に転じるきっかけにしたいものです。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事