高齢の父が施設に入所してほっとしたものの、諸々の雑事のために神戸の実家に定期的に帰省しています。

実家の前に向かうのが神戸クアハウス。新神戸と三宮の中間にあるので新幹線を使う時は便利です。

かなり年季の入った建物で、女性用サウナの温度は低めで物足りないのですが、水風呂がすばらしい。六甲山の天然水が勢いよく流れ込んでいます。そして関西弁のおばちゃんたちのテンポのいい会話を耳にするうちに故郷に帰ってきたという気持ちになれます。

 

そして、実家の用事を済ませたら、神戸ハーバーランドの万葉倶楽部に一泊してから帰ります。女性用でも容赦ない高温オートロウリュにしびれます。元町には神戸レディススパもあるのですが、宿泊はカプセルしかないし、朝に清掃があり水風呂に入れなくなります。というわけで、気の滅入る介護帰省で奪われたエネルギーを回復する場所は万葉倶楽部しかありません。

 

サウナ愛好者から「関西最凶」と讃えられるパワフルなオートロウリュですが、万葉倶楽部のサウナにはテレビがあります。サウナのテレビほど興ざめなものはありませんが、熱さでくらくらするからまあいいかと妥協していました。

チェックアウトは11時なので、ぎりぎりまでサウナにいると関西テレビのワイドショー「よーいドン!」の「となりの人間国宝さん」というコーナーを見ることになります。これがなかなか侮れません。

もしかすると「となりの人間国宝さん」というコーナー名は私が愛読する「となりの億万長者」から取ったのかもしれません。お金に見合った価値を追求する関西人のお眼鏡にかなった商売人が登場します。

先日見たのは。大阪の谷町6丁目の熱帯魚屋さん。売買される熱帯魚は環境保護の観点から養殖魚がほとんどだそうですが、レアな熱帯魚は南洋の海まで遠征して捕獲するそうです。高額な熱帯魚となると数百万円となり、渡航や潜水に要したコストを考えると絶対に捕獲しないわけにはいきません。

しかし店主は、そういう心構えではだめだと言い切ります。

魚との出会いはたまたまであり、会える時は会えるし、会えない時は会えない。無理につかまえようとして命を落とした人も知っている。心のゆとりがないとこの商売は続かない。

オートロウリュの熱波を忘れるほど、聞き入ってしまいました。心身を整える神聖なサウナにテレビがあるなんてけしからんと切り捨てるのではなく、「目に映るすべてのことはメッセージ」というフラットな姿勢でいると、開運のお告げがどんどん入ってくるようです。

 

私も博打打ちのはしくれです。

ニューヨーク市場で細々と売買していますが、「絶対に損したくない」と銘柄を探すとうまくいきません。コロナで市場が荒れると私の手に負えないと休むし、銘柄との出会いのタイミングは偶然に左右されます。そういう割り切りができないと株式市場では生き残れません。

金儲けだけでなく、婚活とか出世、子供の学業など人それぞれ狙っていることがあるはずです。「どうしてもこうでなければならない」と狙い過ぎると反動がけっこうきついもの。「こうなればいいけれど、かなわなくても別にいい」ぐらいのゆるい気持ちでいないと苦しくなります。

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