土曜日の朝は翡翠輝子が東洋占術にまつわる開運よもやま話をお届けします。今回は、女性週刊誌風の世俗ネタ。

伝統的な東洋占術が目指すのは、金と名誉。そして子孫代々まで一族の繁栄。子供のいない私は「不幸な女」のレッテルを貼られますが、現代はもっと多様な成功のスタイルがあると思います。

このところ世間を騒がせた「あおり男」。私と同じ関西学院大卒です。彼が出た天王寺高校は大阪屈指の進学校。たまたま秋の同窓会の連絡係をやっているのですが、この件で大学のゼミ仲間はちょっとしたパニックに襲われました。あんなことをする男は完全に自分たちと違う側だという思い込みが崩されたから。

報道によると、あおり男は資産家の家に生まれ、賃貸用マンション一棟を相続し、家賃収入だけで食べていけたとか。英語で「シルバー・スプーン」は相続財産のある階級に生まれたことを意味しますが、彼は銀の匙をくわえて生まれてきたのです。

とても幸運な生まれだったのに、大学進学でちょっとつまずき(天王寺高校なら、京大・阪大クラスを狙ったはず)、さらに就職先で大きく転び、屈折した思いを抱き続けていたのでしょう。

相続財産がなければ、身の丈にあった仕事先を見つけてまっとうな人生を歩んでいたかもしれません。でも、お金を稼がなくていい境遇で、難関高校を出たというプライドもあり、余計なことがしたくなったのでしょう。実業家ごっこをしているぐらいならよかったけれど、あおり運転と暴力までエスカレートするとは…。

「資源の呪い」ということばを思い出しました。石油や鉱物など天然資源に恵まれた国は経済成長をしないし民主主義も育たない。結果的に国が衰退していきます。

銀の匙は幸運なようでいて不運にも暗転します。親があらゆる手段を尽くしても子の人生が思い通りにならないのは、童話「眠り姫」やギリシャ神話のアキレスにも描かれている通り。「子供に苦労させたくない」と資産を残すよりも、お金を有効に使って親が人生を楽しんでいる姿を子供に見せたほうが賢明だと思います。

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