1980年代のカリスマ予備校講師だった金ピカ先生。「いつやるか? 今でしょ」の林先生を派手にした独自のスタイルで一世を風靡しました。

最盛期には年収2億まで稼いでいたのに、高級車や時計に散財。奥さんに愛想を尽かされ朝から酒浸りの日々という絵に描いたような転落劇です。収入も途絶え、生活保護を受けていたそうですが、せめて年収の10%、2000万円だけでも高配当株に投資していれば生活に窮することもなかっただろうに。

朝から飲んでいたのがビールだったのが、焼酎になったとか。酒飲みの私は気を付けないと。朝から飲むようになったらおしまい。最近はさつま白波ばかり飲んでいるけれどビールに戻すことにします。

金ピカ先生者が教えていた代々木ゼミナールのモットーは「講師は五者であれ」。

まず、学者。勉強を教えるのですから当然です。2番目が医者。鬱屈した受験生の心身を安定させる必要があります。そして3番目が役者。教室は舞台。つまらない授業をしてはいけません。4番目は芸者。役者と同様、教室全体に目を配りながら、一人一人の学生に「あなたは特別」というメッセージを送ることも必要でしょう。

そして5番目は易者。どの志望校が適切か、そして合格へ導くアドバイスをしなくてはいけないからです。

複数の役割の一つとしての占い師というのが興味深い。

宗教学者の植島啓司はバリ島の精神的豊かさは、島民が複数の顔を持っているからだと分析しています。朝は農民として働き、昼になるとだらだらしたり、賭け事に興じて遊びます。そして夜になるとガムランを演奏したり、トランス状態で踊ったり。そんな生活では退屈を感じることなく、のびのびと毎日を送れることでしょう。

島根県の石見地方によく行くのですが、岩見神楽の演者もプロではなく会社員や農業など本業を持っています。昼間は働き、夜は神楽の稽古。実りの秋が到来すれば、あちこちの神社で奉納神楽を舞い、太鼓や笛を演奏します。

会社一筋、あるいは家庭や子育てだけに生きるだけでなく、複数の顔を持てば人生はぐっと楽しくなります。金ピカ先生の人生は行き詰ってしまいましたが、激しいアップダウンの人生を通して、私たちに教訓を遺してくれました。そして、複数の顔の一つと占い師を持てば、自分の人生を俯瞰できるし、知りたいことが山のように湧き出て一生勉強が続けられます。こんなにすばらしい副業はめったにありません。

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