山水蒙の「蒙」は物の道理を知らず、愚かなこと。九五の爻辞に「童蒙吉」とあり、教育の卦ともいわれます。

「山水蒙は子どもや若者に出たら吉、中高年に出たらその人が子供っぽくて無知」と教わったことがあるのですが、必ずしもそうではないと思います。変化の激しい世の中では、自分より若い世代に教えを乞うことがたくさん出てきますから。

I Ching - The Book of Changesによる卦辞の英訳は"Childlike folly brings good fortune"。「子供のような愚かさ(folly)が幸運をもたらす」で、生物学的な子供だけでなく、常に学ぼうとする姿勢や好奇心を指しています。

おとといの夜、久しぶりに羽田空港からリムジンバスに乗りました。いつもはモノレールか京急を利用するのですが、同行者が「混雑した山手線に乗りたくない」と言ったからです。バスの時刻表をチェックすると2時間近く先の便しかありません。新宿行きは頻繁に出ているはずなのにおかしいと思いながらチケット売り場へ。何も考えずに列に並んだら、チケットにはAとBの2種類があり、それぞれの台に並ばなくてはいけないそうです。電光表示板はすべての便を表示せず順に切り替えていくのでとても見にくいし、後ろに人が待っているので大いにあせりました。

やっとのことで中野行きのチケットを2枚手に入れて乗り場へ。バスに乗り込む時、チケットの代わりにスマホを差し出している人もいます。そうか! みんなネットで買っているんだ。

出発のためにリムジンバスのチケットを自宅のパソコンで買うことはあります。搭乗時刻から逆算してバスの時間が決められますから。到着は時間が読めないのでチケット売り場で買うしかないと思い込んでいたのですが、シートベルト着用サインが消えて携帯電話の使用が許可されると同時にリムジンバスのサイトで購入すればいいのです。あるいは、飛行機が離陸すれば到着時間はある程度読めるので、そのタイミングで買っている人もいるかもしれません。そうでないと到着ゲートを出てチケット券売機に着いた時点で新宿行きが2時間先まで売り切れているなんてことにならないでしょう。

IT時代でなくても、物の道理は常に変わっていきます。「経験のある私が指導してやろう」「私の若い頃はこうだった」なんて思い上がることこそが無知蒙昧です。

山水蒙の次の教えを忘れないように。いくつになっても人間は未熟ですから。

An inexperienced person who seeks instruction in a childlike and unassuming way is on the right path, for the man devoid of arrogance who subordinates himself to his teachere will certainly be helped.
未熟な人間が、子供のような素直な態度で正しい道を進みながら教えを求め、傲慢になることなく師に従えば、必ずや助けられる。

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