『街の隠者』後編
おはようございます。先週に続いて本日のデイリーメッセージは、特別仕様「わたしと占い」シリーズでお届けします。
前回のあらすじ。いにしえの伝説の?占い店「中野トナカイ」に通い詰めながら、本格的にスタートした占いの勉強は本当に楽しかったです。でも、どんなに真剣に占いを勉強して、どれだけたくさんいろんな先生方に占ってもらっても、悶々としてぱっとしない自分の意識は全然変わりませんでした。という話です。
くる日もくる日も死ぬほど忙しかったのに、そのあいだをぬって占いとはぜんぜん関係ない趣味にもハマったりもしていて、そのころのわたしを外から他人がみたなら「いつもお忙しく充実してて楽しそうね」と思われたのかもしれません。しかーし、自分としては虚無!でしかありません。常に巨大なブラックホールな無常感をずっしり背負って目隠しされたまま、あてもなくふらふらよろよろとようやく歩いてるかんじでありました。虚無。虚無。虚無。この世はすべて諸行無常。目に映るすべては幻で、虚無でございます。
それでも、2011年の東日本大震災をきっかけに考えました。「なにがあるかわからない。いつ死ぬかもわからない。そのうちいつかは、なんてない。いまここで、自分の持ってるリソースを最大限に燃焼させよう」と決めて、まずは占い師として「天海玉紀」を名乗るようになりました。
とはいえそれは名前だけ。あいかわらずふだんは治療院の仕事がメインで、たまに占い鑑定をぽつりぽつりとご依頼いただくくらいです。あとは、先輩や同期にあたる先生方と、初めての自主イベント開催にチャレンジ。そんな日々でした。
その2011年、主な履歴がこちらです。
ひたすら「文化祭」でしたね。めちゃめちゃ頑張ったんですよ。何もかもが手探りで、すべてが未経験でなにも知らないことばかりの中を、とにかく度胸と勢いだけで次々に挑戦するだけでした。なにもかも難しいことばかりでした。お金も、技術も、どんなに頑張ってもまだまだ全然足りない。経験も実力も全く足りない。おまけに、これまでひとりでしか仕事してないから、いろんな人がいるから、さまざまな場面での折衝や交渉は本当に難しくて、幾度も挫けました。自分の世間知らずと至らなさを何度も何度もひたすら痛感させられるばかりでした。
そして2012年明けました。年始に「中野トナカイ」で開催された「まつい茶屋」占いイベントの記録ありました。(記録は貴重。本当に貴重。ぜひみなさまもどうぞ)
自分では「2011年、本気で頑張ったんだ」と結構イイ感じのつもりでいたんですが、まつい先生がカードと展開しはじめると、いきなり冷や水ばっさーーー。がーーーーんと現実を突きつけられるようなカードがずらりと目の前に並びました。
「占い師の仕事、狭い範囲でわかり合える人たちとだけ共有するようなマニアックな楽しみで続けたいのはわかるけど、これからはもっと広く、世の中に受け入れられて、その中でよりいっそう自分の能力を役立てるところまで視野に入れて、そのつもりでしっかり活動して下さい」
まつい先生に、びしっと叱られました。
ひたすら「はい」とうなずいて、しょんぼりと小さくなるしかなかったです。そしてさらに追い討ちが… 帰りがけのサービス一枚引きで、わたしが引いたのがこちら。大アルカナの「隠者」のカードでした。がーーーーん。はああああーーーー。ばたり。
その直前までさんざん「外に出ろ。広い世界に出て、たくさんの人に会って、外の世界で腕試ししなさい」って言われてる側から「隠者」を引くのがわたしですか。がっくりですよ。せっかく大切な苦言を呈してもらったのに、その場限りで結局はぜんぜん言うこと聞くつもりがない頑迷さがモロバレじゃありませんか。自分の愚かさに、つくづくがっくりきました。
「隠者は隠者でも、この隠者は街にいるよ。このカードには、まわりに人がたくさん描かれてるからね。たくさんの人がいる環境の中で隠者をやるんだね。街の隠者だよ。隠者、街に出る!だよ。わかった?」
はい。ますますしょんぼりして帰りましたとさ。ちーん。しかし、なんとか気持ちを奮い立たせて、なるべく自分を突き放して、前向きに明るく書いたレポが残っています。
新春☆トナカイまつい茶屋で「隠者」のカードを…
そう。記録はだいじです。自分の「お気持ちをだいじに」するのも結構なことだけど、なにかを仕事にするならできるだけ自分を突き放して、自分を外から客観的に見る練習をする習慣を身につけることは強くお勧めいたします。こうやっていつかきっと役立ちます。
そんな出来事を踏まえて、2011年に続いて、2012年はさらに冒険的な企画にいくつもチャレンジいたしました。改めて体当たりで手探りで出たとこ勝負の日々でした。この年がいちばんハイスピードで展開して、ダイナミックだったとおもいます。無我夢中でございました。お世話になったみなさまには、心より感謝ばかりです。
このあたりから人生がどんどん加速して、次から次へとおもしろいチャレンジがやってくるようになりました。たくさんの方々がインターネット経由や口コミ経由で尋ねてきてくださり、講座やイベントを数え切れないくらい繰り返し、二度と出会うことのない人たちに出会い、二度と繰り返すことのできない瞬間を体験し、二度とできない挑戦をたくさん繰り返してきましたし、これからも繰り返していくのでしょう。
とはいえ、いまでもやっぱり「ぜんぶ幻。ぜんぶ夢かもしれないねー」と思う気持ちは、アラフォー厨ニ病のころからあまり変わっていません。ただし、当時ひとりで同じ穴の周りをひたすらぐるぐる回りながらジタバタと悶々としていたときに比べると、いまの景色は変化に富んでずいぶんとカラフルで予測不能で面白いです。いつまで続くかは知りませんが、占いを知ることで時の流れや運の動きを予測しながらタイムスケジュールを立てられるので、とても助かります。
わたしは面白いことが大好きです。わたしは占いのおかげで、たくさんの面白い体験に巡り会うことができるようになりました。そして、面白い仲間をいつでも探しています。わたしと、ウラナイ8と、一緒にやってみたいこと、わたしたちになにかお手伝いできそうなことがあれば、ぜひ声をかけてください。
旅の仲間は途中でどんどん入れ替わっていきますが、それもまた旅の風景と同じでしょう。旅は道連れ、世は情け、です。ということで、みなさまもそれぞれの持ち場で、それぞれのタイミングで、占いライフを楽しんでくださいね。
わたしは「街の隠者」として、いつでもみなさまをお待ちしておりますし、いつかもっと上級職の「街の賢者」か「街の忍者」になれるように、日々是鍛錬の日々はまだまだ続きます。
先週お知らせした、まついなつき先生の一周忌追悼本「トナカイお店日記。」は、ご予約のお客さま多数につき、なんと初版即日完売とのことです。
現在は増刷手配中につき、初回のタイミングを逃したみなさまは、今度こそぜひ!お早めのご予約をお勧めいたします。
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