来月の阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつり。昨年の経験を踏まえ、今年は全占い師1000円均一、予約なしというスタイルになりました。占い師と関係を築いて長時間かけてじっくり観てもらうのも占いの醍醐味の一つ。でも年に一度のお祭りの夜は、偶然にまかせてズバリと印象的なお告げを聞いてみるのもいいのでは。
「占い師はバシッとタイトルやキャッチコピーをつけてほしい」という話から、玉紀さんが考察を展開しています。
https://note.com/5elements/n/nad34612ca04f
https://note.com/5elements/n/n6c914ff715ce
鑑定に来るお客さん、特に一見の客は占いのレクチャーや一般的な解釈を求めていません。改めてそう思うのは、コロンビアでの占い体験から。
首都ボゴタのメインストリートの歩行者天国には思い思いのフリーマーケットが並んでいました。
「こんなの、誰が買うのだろう」とおもうようなガラクタみたいなのも並んでいますが、見て歩くだけで楽しい。その一角に男性占い師が店を出していたのです。
メニューは1万ペソ、3万ペソ、5万ペソの3種類。それぞれ約380円、1140円、1900円です。スペイン語しか話さないコロンビア人が多いので、英語でできるかどうか確認して1万ペソを頼みました。路上の小さなテーブルでの鑑定だし、お互いに母語ではないので深いコミュニケーションはできないだろうから。
ところが占い師はカードを15枚引けというのです。1万ペソでそれはないだろうと思いつつ、15枚を選びました。占的は特に指定せず、これからの人生というふわっとしたもの。
メインの3枚。路上なのでカードが風で飛ばされないように石を置いています。
中央がソードのクイーン。老いと向き合う私には最もふさわしいカード。あれもこれもと欲張ることなく冷静に切り捨てていくのです。脇を固めるのがカップの5とペンタクルの5という一般的な凶のカード。ご丁寧にもDisappointment(失望)、 Worry(不安)という単語が書かれています。カップがひっくり返って中身をこぼしていくのが加齢というもの。喪失に耐えよというカップの5。そしてスミス=ウエイト版では「貧乏人のカード」と呼ばれるペンタクルの5。温かな光が漏れるステンドグラスの窓に気づかず雪道を裸足で歩くようなことをしてはいけないという戒めでしょうか。「失望も不安にもソードのクイーンは屈しない」というフレーズが浮かびました。
この3枚だけで十分なのに、占い師は残りの12枚のカードも次々と開けていくのです。サービスのつもりなのかもしれませんが、私は最初の3枚のイメージだけを心に刻印して後は聞き流しました。15枚も引けば吉凶入り混じってメッセージがあやふやになりそうだから。
私のタロットの師は伊泉龍一先生。マルセイユタロット大アルカナ1枚引きですべてを語るという講座を延々と受けました。1枚のカードですべてを語りつくすトレーニング。それをマスターしてから、補助的に2枚目、3枚目のカードを引くという過程に進んでいきました。そのせいで最初からたくさんのカードを広げるスプレッドは、あまり得意ではありません。
気がつけば、背後に人混みができていました。日本人自体がめずらしい上に人の鑑定が聞けるとあって野次馬が集まってきていたのでしょう。それなのに次の鑑定を依頼する人は一人もいませんでした。後半は占い師が一方的に12枚のカードの解釈を述べたのでおもしろくなかったから。最初の3枚に集中して、占い師と客との当意即妙なやりとりが展開すれば、やってみたいと思う人もいたかもしれないのに。ともかく、この体験も含めて1万コロンビアペソの価値は十分ありました。

















