株に手を染めるようになったのは、東洋占術をかじったから。運がいいか悪いかの基準はお金だと知り、結果がストレートにわかる株式取引を始めました。

最初は日本株を売買していたのですが、今ではアメリカ株に軸足を移しています。3月にコロナ暴落で肝を冷やしたのですが、人種対立も起こってアメリカ社会はグタグタのはずなのになぜか株価は戻ってきています。

何度も言っていますが、どの銘柄を買うのかは占いません。世俗の欲に占いを使うとしっぺ返しがあるから。「この企業に投資することが社会の役に立つかどうか」で銘柄を選んでいます。いくら割安で配当が高くても、タバコ産業の株は買わないし、アマゾンが最高値を更新するとしても物流センターでの労働状況を知るととても投資する気になれません。

注文はすべて成行(なりゆき)で。いろいろ調べればいいのですが、面倒くさくて、この株はこの値になったら注文を出すという指値(さしね)ができません。市場の空気が株価を決めるのだから、その銘柄が欲しいのなら成行で買うし、手放したくなったら成行で売ります。

 

昔、エジプトを旅した時のこと。

市場でガラス製の香水入れを買いました。客引きに誘われ、きれいな形が気に入ったから。とはいえ、香水をつける習慣もないし、特に欲しい物でもありません。お店の人がしつこいし、店内を見物できたから何か一つぐらい買わないと店を出られないだろうと1つ買ってみました。

その夜、ホテルのレストランで日本人の女性観光客と会って「今日はどこに行った、何を買った」という話になりました。「市場でこれを買った」と私が香水入れを見せると、値段を聞かれました。その人も同じタイプの香水入れを買ったのですが、私の数倍以上の値段だったそうです。私はあまり欲しくないけれどしかたなく買ったのに対して、「ぜひ欲しい」という顔をしていたから高値を吹っかけられたのでしょう。

翌日、その人は店に行って抗議したそうです。「他の日本人には安く売ったのにどうして私には高く売ったのか。差額を返金してほしい」と。

エジプト商人の答え。

「ここには定価なんてない。あらゆる価格は売り手と買い手の合意で成り立つ。あなたはその値段で買うことを了承した。他の日本人との商談はまた別の話だ。よって返金する必要はない」

まさに株と同じ! 株価は変動するから怖いという人は銀行の定期に預けるしかありません。下がることもあるから上がることもあると割り切っていないと、相場には手を出せません。そして「この銘柄はこの価格でなければならない」と指値で注文を出し続けても、取引が成立しないこともよくあるのです。

 

経済を学べば株式市場で利益を出せるわけじゃありません。占いの世界もそんな面があります。理論を極めた占い師が当てるかというと、大きくはずしています。反対に初歩的な知識しかない占い師が大当たりすることもあります。

理論だけにこだわらず、市場の流れを敏感にキャッチし、流れに任せるおおらかさ。一時的に損をしても気に病まず、次に向かう。損も得も一時的なこと。すべては循環していると開き直って楽しく世渡りしていくのが理想です。

仕事、結婚、不動産に関しても「それじゃあ損していない?」と言われることもありますが、すべては成行で決めたこと。その時点でこれで行こうと決めたのなら、世間の評価は無視して自分の基準で納得すればいいのです。

成行にまかせる人生は怠け者で、ゴールを明確に設定して努力せするのが正しいということになっていますが、ゴールにとらわれ過ぎると不幸になります。

There is a good attitude to take towards any goal: It's nice if it happens, nice if it doesn't.
ゴールが実現すれば素敵だし、実現しなくてもそれもまた素敵だというのは、いい考え方だ。(タデウス・ゴラス「怠け者の悟り方」)

成行だけで生きてきたこの人生がどこに行きつくのかわかりませんが、何が起こってもしかたがないと割り切る練習を繰り返しています。

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