先週金曜日の東西命術研究会で取り上げた小池百合子。

占術のロジックを学んで命式を見れば一通りのことは言えますが、それ以上のこととなると、本人のキャリアや環境、人間関係によって、命式の読み方はがらりと変わってきます。今回の研究会を通して、占い師が語ること、語らないことのむずかしさを改めて感じました。鑑定の場は占い講座ではないのですから、自分が信じる理論を披露しても意味がありません。

 

そこで思い出したのが、ノーラ・エフロンのエピソード。『恋人たちの予感』『ユー・ガット・メイル』などのラブコメの脚本・監督を担当した才女です。

脚本家になる前はニューヨーク・ポストの記者を務めていました。ジャーナリストになったきっかけは、高校でジャーナリズムを教えてくれたチャールズ・O・シムズ先生。

最初の授業の課題は、新聞のリード(最初の文章)を書くこと。

シムズ先生は事実を読み上げて生徒に書き取らせます。

「当校の校長が本日発表した内容は以下の通り。当校の教職員は来週の木曜に新しい教育法の会議に出席するためサクラメントに出張する。会議では文化人類学者のマーガレット・ミード氏とシカゴ大学学長のロバート・メイナード・ハッチンス氏が講演を行う予定」

学生たちは必死にメモを取り、文章を並べ替えてリード文を作りましたが、シムズ先生はすべてをゴミ箱に入れ、こう言いました。

「この記事のリードは『来週の木曜は休校になる』だ」

ノラ・エフロンはこう回想しています。

あの瞬間、ジャーナリズムとは事実を反復することではなく、ポイントを見つけることだと気づいた。誰が、いつ、どこで、何をしたかを知っているだけでは足りない。それが何を意味するのか、なぜそれが重要かを理解する必要がある。

占い師の対面鑑定もこれに尽きます。

命式なりホロスコープ、出た卦、カードから言えることはたくさんありますが、依頼者にとってそれが何を意味するのか、なぜそれが重要なのかを理解しなくては何も始まりません。

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