人里離れて暮らすはずの隠者なのに、街にいるのが玉紀さん。女帝は豪華な宮殿でゆったりと暮らすものなのに、あちこち旅しているのが私。

そんなタロットの言葉遊び。ゆみこさんから「現場の教皇」、星見当番さんから「野生の女教皇」など、ミスマッチな言葉遊びが飛び出しました。そうやって遊べるからこそ、象徴は象徴たりえるのです。

「敬虔な悪魔」というのも思いつきました。悪魔的なカルト教団の教えに身も心も捧げ、決して戒律を破らない信者の姿は容易に思い浮かべることができます。

「敬虔な悪魔」に対して「残酷な天使」。ということで思い出したのが及川眠子。『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』の作詞家です。この曲の印税のおかげで、年収3000万円を切ったことがないそうです。

私と同じ年の生まれで、言葉の才能一つで巨額の財を手にした女性。一応私も筆一本で食べてきましたが、才能の質が異なります。そして18歳下のトルコ人の夫との顛末を耳にして、金運の器のサイズも桁違いだと思いました。

13年間の結婚生活で夫のために使った金額は約3億円。単なるヒモならそこまでいきませんが、トルコでの旅行社経営、カッパドキアのホテル建設など、さすが売れっ子の作詞家は桁違いのスケールです。

テレビに出演するたびにこのネタを話しているし、本も書いています。

「男運が悪いと言われるけれど、幸せな時間もあったし、話のネタにできるから物書きとしては充分男運がいい」そうです。そして「私は男に食わせてもらいたいとか、何かを買ってもらいたいと思ったことはない。自分で稼げるし、欲しいものがあれば自分で買う。男に甲斐性を求めることもない」と自己分析しています。

運気の観点からすれば、トルコ人夫は立派な厄落としです。

週刊誌の記者をしていた頃、宝くじで高額を当てた人のその後を取材したことがあります。自らの才覚で稼いだのではなく、単なる運によって手にしたお金はしばしば人を破滅させます。贅沢三昧で親戚や知人からたかられる日々。仕事をする気にもならず、息子や娘も無職に。いきなり何億も転がり込んで来たら、働く気にはならないのでしょう。そのうちお金は底をつき、自己破産した人もいました。

いきなり大金を手にするのはとんでもない幸運のようでいて、実は恐ろしいことなのです。及川眠子の場合は、才能をお金にしたので宝くじや博打とは違いますが、アニメの大ヒットという自分ではコントロールできない流れによって莫大な印税が転がり込んできました。これは慎重に行かないと破滅するところですが、トルコ人の夫によって破滅から逃れられたのでしょう。

楽して儲けたい、高収入の男性と結婚したい…そんな夢のような願いが叶うと自分はなんて運がいいんだと舞い上がりたくなりますが、次にやって来るのは大きな落とし穴です。幸運の天使はとても残酷です。

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