新年を迎えて、今年も運に恵まれる一年にしたいと願います。私は読書を通じて開運のヒントを得ることが多いので、昨年末に続いて、マルコム・グラッドウェルの『第1感』を紹介します。

何でも訴えてやるというアメリカでは、医療訴訟の件数は日本の5倍ほど。医者は医療過誤保険に加入して、訴訟に備えています。

保険会社にとっては、訴えられる可能性が高いのはどんな医者かはのどから手が出るほど欲しいデータでしょう。医者が受けた教育と実績を調べるのが妥当な方法のように思えますが、正解は医者と患者の短い会話を聞く方法です。

医者が医療事故で訴えられるかどうかは、ミスを犯す回数とはほとんど関係ない。訴訟を分析したところ、腕のいい医者が何度も訴えられたり、たびたびミスしても訴えられない医者がいることがわかった。一方で、医者にミスがあっても訴えない人がかなりの数に上ることもわかった。要するに、患者はいい加減な治療で被害を受けただけでは医者を訴えない。訴訟を起こすにはほかに「わけ」がある。

ぜひ知りたい! これは占いの世界も同じことだから。

占いの店にクレームが入るのは、占いが外れていたからだけではありません。占いを外しても、リピーターの多い占い師もいます。反対に、ぴたりと当てても客に嫌われる占い師がいるのです。

 

マルコム・グラッドウェルの答え。

その「わけ」とは何か。それは、医者から個人的にどんな扱いを受けたかである。医療事故の訴訟にたびたび見られるのは、医者にせかされたとか、無視されたとか、まともに扱ってもらえなかったという訴えだ。「患者は好きな医者を訴えたりしないものなの」と医療事故訴訟が専門のアリス・バーキンは言う。「この仕事を始めてから『あの先生のことは好きだから先生に悪いとは思うが、訴えたい』というようなケースは一度もなかったわ。その一方で、不手際があったのは患者を最初に診たかかりつけの医師なのに、問題があったとは思えない専門医を訴えたいという人は何人もいたの。『いつも世話になっている先生のことはいいの。あの先生は好きだから訴えたりしない』と言うのよ。

医師を占い師に置き換えてみましょう。的中率や自分の信じている理論の正しさを誇って天狗になり、鑑定に来たお客さんをないがしろにしている占い師もいるのです。

そして、この教訓は医療や占いだけでなく、あらゆる仕事にあてはまります。もちろんモンスター客はどうしようもありませんが、まっとうな人なら、自分にちゃんと向き合ってくれた人を訴えたりしません。相手を尊重していることが伝わるだけで、トラブルを未然に防ぐことができるのです。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事