『置かれた場所で咲きなさい』という本がベストセラーになりました。たしかに、自分が置かれた状況に合わせた行動をするのは開運の基本ですが、うまくいかない場合もあります。たまたま置かれた場所が自分に向いていたという幸運な人がいる一方、どうしても折り合えない人もいるでしょう。

 

橘玲の『人生は攻略できる』という本に紹介されていた一卵性双生児の姉妹。

母親は貧しいピアニストで、双子を育てられないので養子に出しました。一人は音楽家の家に、もう一人は普通の家に。大人になって、双子のうち一人はプロのピアニストになり、もう一人は音楽と何の関係もない仕事に就きました。

さて、ピアニストになったのはどちらの家で育った子でしょうか。

恵まれた音楽環境で英才教育を受ける子だと予想しましたが、答えは反対。普通の家で育った子がピアニストになったのです。なぜなら、音楽家の家では周りは多少ピアノが上手に弾けてもどうということはありません。それに対し、普通の家ではちょっとした演奏でも絶賛されます。それが励みとなり、練習を重ねてピアニストの道が開けていったのでしょう。

同じ遺伝子を持っていても、環境によってこんなに差が出るのです。置かれた場所にじっとしていたら咲かない場合もあるのですから、じっとしているわけにはいきません。

 

『鶏口となるも牛後となるなかれ』ということわざも思い出しました。背伸びして受けた超難関校に合格して喜んだものの、同級生に後れを取り挫折したという人もいますし、第一志望の高校に落ちたのが幸いしてのびのび勉強できて東大に入ったという人もいます。

置かれた場所が自分に合わないのなら、どんどん場所替えを。私は瀬戸内海沿岸の田舎で育ちましたが、あのまま故郷にいる自分を想像すると、どんなに退屈な人生だっただろうとぞっとします。

そして、時代や年齢によっても咲ける場所は変わってきます。たまたま私の世代ではお金を稼ぐためには東京は最適な場所だったけれど、これからは都会に住む必要はないと思うようになりました。コロナが落ち着いたら、自分を咲かせる場所を探しにあちこちに出かけるのを楽しみにしています。

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