『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』は、ノンフィクションというより運命論の本として読みました。

著者のタラ・ウェストーバーは1986年生まれ。ややカルト的なモルモン教徒の両親のもとで、学校に一切通うことなく育ち、自力で大学に進み博士号を取得し、現在はハーバード大学の研究員となっています。

「生まれ持った宿命がどうであれ、自分で運命を切り開いて行けるんだ!」という教訓が得られますが、誰でもそれが可能なわけではありません。

タラは七人兄弟の末っ子で、両親に反発して家を出て大学に進学した兄がいます。「学校に行かずホームスクールで学んだ子も受験できる」という情報を得て、兄というロールモデルがいたこそ、彼女は大学進学に挑戦できたのです。

ブリガム・ヤング大学に入学したものの、勉強のやり方がわからず、社会的な常識が欠落しているため人間関係もぎくしゃくします。

それでも彼女の知性を認め、ケンブリッジへの留学を勧めた教授がいました。そして「大学までまったく学校教育を受けていない学生を世界最高峰のケンブリッジに送り出す」後押しをしたのです。

この章のタイトルは『ピグマリオン』!

教授は下町の花売り娘を上流階級にデビューさせるヒギンズの役割を演じたかったのです。もしタラと同程度の成績の学生がいて、どちらをケンブリッジに推薦するかとなったら、彼女を選ぶでしょう。こんな奇想天外な物語の登場人物になれる機会なんて一生のうちにそうありませんから。

入りたい企業、結婚したい相手に対して「私を選ぶと、こんな物語ができます」というアプローチは有効です。

「とにかく低賃金で働く労働者がほしい」「お金さえあれば年齢・性格・容姿は問わず結婚する」という特殊ケースは別にして、ありますが、たいていの人は自分の人生には意味があり、こんな物語があったという軌跡を残したいものです。

大河小説でなくてもちょっとした短編小説なら日々の生活の中に見出すことができます。占いの知識を応用すれば、物語を組み立てるのがぐっと容易になります。ただし、占い嫌いの人には占い用語を使わずに物語を伝える工夫が必要です。

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