今年も残すところ1か月と少し。お正月までに少しでも家を片付けようと、気ばかりあせります。

大掃除の掛け声は「火風鼎(かふうてい)」、そして「鼎(かなえ)、あしをさかしまにす」。とにかく目についたところにある物をすべて出します。

火風鼎の鼎は、煮炊きに用いる器。といっても日常に使うものではなく、由緒ある家に代々受け継がれている貴重品です。「鼎の軽重を問う(かなえのけいちょうをとう)」という言葉は、楚の王が周を軽んじ、周に伝わる鼎の大きさと重さを問うたという故事から生まれたもので、王を滅ぼして天下を取ろうとする野心を指します。

初爻は、鼎の足を上に向け、さかさまにして否を出す。鍋に残った古い料理を捨てないことには、新しい料理はできません。さらに「妾を得てその子におよぶ」と不穏なことが書かれています。

仁田丸久氏の『周易裏街道』ではこんな風に解説されています。

鼎を代々受け継いでいるような名家では、世継ぎがぱっとしなければ、妾の子でもなんでも持ってきて間に合わした。前の煮えそこないのものや古い料理で塞がっていたのでは、いくら新しい食材を入れても使い物にならぬ。そんな姑息な小細工はやめて、抜本的にやり直せ。

 

断捨離の番組を見ても、まず最初は全出し。自分が何をどれだけ持っているのか把握しないと、片付けは始まりません。押入れの奥やクローゼットの片隅に突っ込んである、いつか使うかもしれない品々。見なかったことにして表面だけ取り作るのはやめ、日の目を当てる。大晦日までにすべてできないとしても、とりあえず一つの引き出し、一段の棚だけでもさかさまにして、中に入っている物を出してみましょう。

 

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