多様な選択肢があるのが豊かな生活とされていますが、決断を繰り返しているうちに脳がくたくたになります。

シーナ・アイエンガーの『選択の科学』に、昔を懐かしがる東ドイツ住民が描かれています。

ベルリンの壁が崩れ、すべてがバラ色になると思っていたのに、新たに得られた自由はとても疲れるのです。多くの市民は売り場に並ぶ清涼飲料水やチューイングガムに「こんなにたくさんの種類は要らない」と感じました。

資本主義の国に生まれても、決断を何度も繰り返すうちに、正しい決断ができなくなります。スーパーでレジの近くにチョコレートバーやキャンディを置くのは、決断に疲れた消費者に本来必要でないものを買わせるためです。

 

私は決断疲れを防ぐために占いを使っています。

迷うことがあれば、サイコロで易を立てたり、カードを引いたり。そして、出た卦やカード以上に自分の心の反応を観察します。

AかBかで悩んでAのほうがいいと占いが告げて、すっと納得できるならAで決まり。

反対に心がざわざわして納得できないのなら、占いの結果に反してBにします。それで失敗しても心の声に従ったのだと受け入れます。自分の本音を知るために占いを使っているので邪道ではありますが、ぐずぐず迷って決断を引き延ばさずに済みます。

この方法は、アラン・コーエンというアメリカのスピリチュアル系作家から教わったものです。アランは占いをしないので、迷ったらコインを投げます。そしてコインの裏か表かではなく、心の反応に従って決断するのです。

5年ほど前、日本語教師養成講座に通おうかどうか迷って占ったら、地火明夷(ちかめいい)の四爻が出ました。地火明夷は太陽が地中に入って暗い状態。「夷」は未開の異民族であり、傷つけ殺すという意味もあります。明るいものが傷つく。私の本名は「明子」ですから、そんな講座に行ったら散々な目に遭うでしょう。

それでも講座に申込んだのは、私は地火明夷が出たからやめるようなタイプじゃなくて、むしろおもしろいと思ったから。フリーランスで好き勝手に働いてきたから、老いの階段を降りていく前に、傷つくのもいい経験になるし。

結果はまさに「明夷」でした。座学は何とかなっても、模擬授業がうまくいかず、さんざん凹みました。そこでやめておけばいいのに、資格を取ったからには教壇に立とうと二つの学校で非常勤講師になりました。玉紀さんのインナーチャイルドカードのセッションを初めて受けて、妖精のゴッドマザーにも強く背中を押されました。学生たちに魔法をかけると意気込んだのですが、終わってみれば私自身が魔法をかけられて外国人留学生たちのパーティーで踊っていたようなものでした。

現場に出ればますます傷つき、毎日が綱渡りのような生活で心安らぐことのなかった3年間でした。それでも、正統派の教師ではなくオタクの外国人学生の自己表現の場として作文クラスを作り上げたのは、まさに地下での輝きです。

 

あの時、ぐずぐず迷っていたら資格は取れても教壇には立てなかったでしょう。コロナで留学生が来日しなくなったのですから。私が就職活動をした時は日本語学校が乱立してどこも教師不足だったので50代未経験でも雇ってもらえました。占いは未来を予想するだけでなく、行動を起こすきっかっけとしても活用できます。

 

<おまけ>

『選択の科学』は占い関係者には絶対におすすめです。

「すべては物語から始まる」というジョーゼフ・キャンベルの引用句から始まり、インドで最も有名な占星術師の鑑定で終わります。

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