ここ一年ほど取り組んできた易の本、原稿書きのパートは終わりが見えてきました。初稿が出てからの校正も大変な作業になりそうですが、ともかく書き終わったということで、肩の荷が下りました。

本業のライターでは、原稿を書き飛ばして、締め切りの前にゆとりをもって入稿するタイプ。週刊誌の編集者に仕事をもらうには、とにかく速く書くしかありませんでしたし。

しかし今回の易の本は、肩に力が入り過ぎてなかなか進みませんでした。書く前から東洋占術業界の重鎮が眉をひそめるのではないかと想像して怖気づくこともあったし。

呪文のように繰り返したのが、ザッカーバーグの"Done is better than perfect."。

一気に完璧な原稿を書かなくていいから、とりあえず書き始める。一通り書いたら、手を入れればいい。

連載などは慣れているので、最初に書いた原稿をにあまり手を入れず入稿することが多かったので、今回の易の本で初めて取り入れた書き方です。六十四卦の一番目の乾為天について完璧に書き上げようとしたら、何年あっても足りません。とりあえずレイアウトに合わせた文字数を埋めて、最後の火水未済まで書き上げる。不完全な原稿でも、ともかく締め切りが守れないという失態は避けられるという安心感を得たところで、乾為天に戻って推敲していきました。

ザッカーバーグの名言は「完璧なサービスを作るために時間をかけるよりも、ある程度のところでリリースして、改良していく」というIT企業の姿勢を示したものです。スピードが命のネット業界では、完璧を目指しているとたちまち遅れをとってしまうのでしょう。

原稿書きやITビジネスだけでなく、人生全般で"Done is better than perfect."は有効です。準備が完璧に整ったら始めると思っているうちに一生が終わってしまいます。「いつか小説を書く」と思いつつ、一文字も書いていない人は世の中にたくさんいるはず。

やりたいことがあるなら、まず始めてみましょう。納得できないところがあっても、ずんずん進めてとりあえず形にする。そこからようやく始まるのです。

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