大掃除シーズンですが、家中を完璧に整えて新年を迎える人はそう多くなく、むしろ少数派なのではと思っています。お節料理の準備もありますし、ストレスを感じない範囲でいいのでは。
とりあえず、引き出し一つ、クローゼット一段だけでも片付けてみてはどうでしょうか。たった一か所でも、片付いた場所ができれば、気持ちがぐっと楽になるはずです。
そんなふうに考えるのも『統合失調症の一族』の末娘リジー(メアリー)のエピソードを読んだからです。
https://bob0524.hatenablog.com/entry/2024/07/15/104821
10人の兄が年の順に次々と精神に異常をきたし、両親は当てにならない。頼りの姉は寄宿舎学校に行ってしまう。そんな絶望的な状況でリジーが正気を保つために、自分の部屋で何時間もクローゼットや筑への引き出しを整理してはやり直すことに没頭していたのです。思い通りの空間を作り上げることで、自分には多少なりとも物事を意のままにする力があるのだと思えるからです。
自己肯定感を高めるには、瞑想や筋トレより片付けが効果的なのかも。
自己啓発本の研究者、尾崎俊介氏がオックスフォード版文学研究百科に「アメリカと日本の自己啓発本」という記事を書いたら「Marie Kondoの記事がない」とクレームが出たそうです。アメリカでは近藤麻理恵の片付け術はSelf HelpをもじってShelf Helpと呼ばれており、家の中を片付けることは人生を変えることに通じると気づく人が続出。動く禅(Zen in motion)とも言われています。
家の片付けで、何を手放し、何を残すかは、自己決定の積み重ね。スムーズに進んで思い通りの空間ができれば自己肯定感が高まります。このところ玉紀さんがご実家の片付けで大変なのは、自分が溜め込んだものでもないのに、手に負えないような範囲で自己決定を迫られているから。メンタルがやられるのもわかります。
10月末に浴室やトイレ、キッチンの掃除をプロにお願いして、水回りがきれいになっただけで、自分がとてもまともな人間のような気になりました。
悩んでいるなら、まず手を動かしてガラクタを捨てる。それができるなら悩まないと反論されそうですが、とりあえず次の収集日に出すゴミ袋を用意し、限定された小さな範囲だけ片付けてみましょう。次の収集日には別の引き出しか棚を片付ける気になれるかもしれません。
あなたとあなたの所有物は、エネルギーの細い糸で結ばれています。家の中が好きなもの、よく利用されるもので満ちていると、あなたの人生に力強いサポートと養分を与えてくれるのです。その一方、「ガラクタ」はあなたのエネルギー・レベルを落とし、長く溜め込むほど悪影響は大きくなっていきます。人生に意味のないもの、重要でないものを処分することによって、あなたは体も、心も、そして魂も軽くなることでしょう。(カレン・キングストン『ガラクタ捨てれば自分が見える 風水整理術入門』