測字占(そくじせん)という占いがあります。相談者が書いた漢字、あるいぱっと目についた漢字を元に占う卜術です。

仁田丸久『うらおもて周易作法』にこんな例が出ています。1867(昭和42)年の話です。

「反物を染色工場に出したいが、目星をつけている工場が二つある。どちらがいいか」という相談。

新聞を見ると「配」という字が目にとまった。配は「西」と「己」。一つの工場は西、もう一つは「己」から「巳」、すなわち巽(東南)の方位では? 「はい、そうです」と相談者。

「己」は「色」に通じるので、配は西に色。西の方へだすと配色がよろしい。

東南の「巽」は「己」すなわち「色」が二つ並んで知るので、これは二つの工場がある。これは感心しない。染色は一度に同じ工場で、同時に作った染料で染めねばどんなに厳密にしても仕上がらないものだから。

ということで、西の工場で染めたら仕上がりがよく、再度注文した。

 

「配」という一文字から、占的に合わせてここまで引き出すとは、神業。

仁田丸久は「人知の計らいをせず、とっさに考えが浮かぶのは深層意識からの伝達」と解説していますが、卜術が上手な占い師はこれができているのでしょう。

上達のコツは「好きこそものの上手なれ」。

 俳句をする人が、なかなか名句が出ないで、苦吟するといいます。そういう苦吟できた句にはあまりよいのはありません。名句は自然に口をついて出るものです。測字占もとっさに思いついたヒントから自然に推理が出てくるものです。ああとかこうとか、それに希望的な感が混じって判断していくとあまり当たりません。

英語にエンジョイという言葉があります。これは愉快に楽しみながらやっていくことです。それをやることが好きになるコツです。

タロットや易などの卜術は、最初にぱっと思いついたイメージがよく当っているもの。そのときはピンと来なくても、しばらくして「あれはこういうことだったんだ」とひらめくこともあります。そういう楽しさをどこまで体験できるかが、占いが上達するかどうかの分かれ道です。

お客さんからお金をいただいて鑑定する場合は難しい局面もあり楽しんでばかりいられませんが、ウラナイ8で開催する読み会、練習会は占いを楽しむいい機会です。

献血会場での占いのボランティアを始めて4年目となりますが、社会貢献というより月に一度のエンターテインメントとして楽しんでいます。占的を何にするか話し合い、その上でどんなタロットカードが出てくるか、お客さん以上に私のほうがわくわくしています。子どもの頃、紙芝居で次はどんな絵が出て来るか待っていた時の気持ち。インナーチャイルドカードになると、ますます紙芝居感が出てきます。

今回紹介した測字占。ぱっと思いついた漢字でもいいし、雑誌や広告で目についた漢字の意味や読み方に加えて形から推理していきます。易の場合は象徴を取り出すには少々勉強が必要ですが、八卦の意味をつかめばイメージを自在に広げられます。

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