たまたま目にした「銀座百点」というタウン誌。巻頭座談会のタイトルが「エンタメとして、教養としてー占いで広がる世界ー」でした。登場しているのは、鏡リュウジ(占星術研究家)、辛酸なめ子(コラムニスト)、名越康文(精神科医)。
受験シーズンとなると思い出す鏡リュウジ先生のエピソードがこの座談会でも語られていました。女性誌の取材で本人から直接お聞きしたこともあるし、「実践タロット・リーディング」(朝日新聞出版)にも書かれています。
「銀座百点」からの引用。
鏡 ぼくは受験のときに、北野天満宮に合格祈願に行ったんです。お賽銭を入れて、絵馬に「合格しますように」と書いて。そうしたら家に帰って祖母に怒られたの。
辛酸 えっ、なぜですか?
鏡 祖母いわく「そんなお願いをされたら、神様は受からせないわけにいかなくなる。合格することは、今のおまえがそうなりたいと願っているだけで、ほんとうにいいことかわからない」と。この場合は、「『いちばんええようにしてください』といわなあかん」と教えられました。
辛酸 つまり、不合格だったとしても、それがいちばんいいってことですね。
鏡 そう。欲深いともとれるけど、落ちたときの救いにもなりますよね。
名越 さすが鏡さんのおばあさま、すばらしい! 占い師になってほしかった(笑)。
7年前、うちにホームステイしたフィンランド人のヘンリク君と、ものすごく気が合いました。年齢や地位を気にせずフラットな人間関係を築くフィンランド人なので、友達という関係に。そして、ひとたび友達になれば友情は一生続くと、彼のお母さんに言われました。
その後、大学生となったヘンリク君は日本の大学の交換留学生の試験を受けます。第一志望は東京の大学。東京なら知っている場所だし、我が家にまたホームステイすれば気楽だし。
ところが第一志望は不合格になって、京都の大学に行くことになりました。そこで台湾からの留学生と恋に落ち、今は台湾企業に就職して台北に住んでいます。彼にとっては、京都の大学に留学することが「いちばんええこと」だったのでしょう。
子どもの受験に悩む親からの相談に、このネタはけっこう使えます。
おととし、お世話になっている税理士さん(女性)から「プライベートな相談があるので」と連絡がありました。「息子の大学受験について占ってもらいたい、対面鑑定はしていないと聞いているけれど、他に占い師さんを知らないからお願いできないだろうか」とのこと。
とても優秀な息子さんらしく、第一志望は東大。
「親としてどうしても東大に行ってほしいと望んでいるわけではありませんが、本人がとても繊細。東大に落ちたときのダメージが大きそうで、それが心配でたまりません」
高校受験で第一志望に落ちて、かなり落ち込んだことがあったそうです。しかし、背伸びして入った難関高校ではないことが幸いして、のびのびと楽しい高校生活を送り、学力も伸びて東大を狙える成績を取るようになったのです。
だったら、大学受験も同じこと。合格した大学が本人に一番合っているのだから、心配することは何もないと鏡さんのエピソードを紹介しました。
税理士さんの顔がみるみる明るくなってきました。そして、悩みはすべて解決したから、占ってもらわなくていいとのこと。お礼にその日のランチをご馳走してもらいました。そして半年後、見事に東大に合格したと連絡を受けました。
「銀座百点」の座談会には他にも興味深いことが出ているので、ウラナイ8ブッククラブで紹介しています。更新はそう頻繁ではなくひっそりしていますが、紹介されたコンテンツは70になりました。書籍だけでなく、映画、ドラマ、ゲームもあります。ウラナイ8のメンバーの誰かと面識のあることが入会条件なので、攻撃的な人はいません。読むだけでも大丈夫なので、ぜひのぞいてみてください。
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