日本では精神分析やカウンセリングがアメリカほど定着しないのは、気軽に占ってもらう文化があるからだと聞いたことがあります。たしかに、対面鑑定をやってみると占いの結果を知りたいというより、自分の話を聞いてほしいというお客さんも一定数いることに気がつきました。
というわけで、最相葉月『セラピスト』は占い師にとって参考になる箇所がかなりあります。
その一つが「心理三分の一説」。臨床心理士になるという明確な目標をもつ学生が多いという大学院で最相葉月が耳にした説です。心理学を専攻する学生のうち、三分の一は平均的な人、三分の一は過去にうつ病などを克服した経験がある共感性の高い人。そして残りの三分の一は今病んでいる人なのだそうです。
占い師にもあてはまりそう。うさんくさいと思われがちな占い師ですが、いたって常識的な占い師もいるし、占いによって悩みを解決したり、癒された経験があって自分も学ぶようになったという人もいます。問題は「今病んでいる人」。占い師を名乗るのに資格も試験も不要ですから、臨床心理士よりその割合は多いかもしれません。
玉紀さんがウラナイ8号室を作ったのは、「占いを安全に語り合える場所を作りたかった」という理由がからですが、危険な占い師というのは現実に存在します。依存させて高額な料金を巻き上げるだけでなく、言葉によるダメージで呪いにかける占い師など。
来週から始まる「阿佐ヶ谷七夕ウラナイまつり」では、初めての対面鑑定というお客さんもいらっしゃるでしょう。「占いっておもしろい」「こわくない」という感じてもらえるような場になることを願っています。
最相葉月『セラピスト』については、ウラナイ8ブッククラブでも紹介する予定です。占いの解説書を始め小説、コミック、ドラマ、アニメなど対象としたバーチャル図書館です。活字離れのご時世で、ものすごく静かな場となっていますが、思い出した時にでものぞいてみてください。新規参加もいつでも大歓迎です。