占いをずばり的中させる占い師が人気になるかというと、そうとも限りません。はずすことがあっても「なぜかあの占い師のところに行くと運がよくなる」という占い師はお客さんが放っておきません。

そんなことを考えたのは、島根に行って旧友の占い師を訪ねたから。占い学校の同級生でしたが、個人鑑定に独特の才能があり、たちまち予約の取れない占い師となった女性です。実家のある島根に拠点を移し、たまに東京に出て集中的に鑑定をこなしていたのですが、最近は客のほうから島根にやって来るようです。ある会社の社長も占っているのですが、社長の一存で社員旅行が島根になったことも。観光大使も顔負けです。

彼女の人気の理由は、占いを当てることに加えて「この占い師に会えばなぜか運がよくなる」と思われているからでしょう。私は客ではなく友人として会いに行くのですが、今年の1月に雪が積もって彼女が車を出せなくなって会えなかったときは「私の運もここまでか」と不安になったものです。

 

客の運気を上げるのはどんな占い師でしょうか。

自ら人間関係のトラブルを引き寄せていたり、翌月の金策に追われているような占い師は論外ですが、誰しもが羨むような幸運に恵まれている必要はありません。名選手は名監督にあらず。生まれながらの秀才は家庭教師に向いていないし、痩せ体質の人はダイエットのアドバイスはできません。病気になったり事故に巻き込まれても、天を恨まず立ち直っていれば占い師の資格は十分あります。

吉福伸逸「トランスパーソナル・セラピー入門」に描かれている理想的なセラピストは、「人生で起こりうるあらゆる艱難辛苦をしっかり体験し、それにくじけず、いま、ここに、しっかり足をつけている人」です。運をよくする占い師の姿に近いような気がします。

まず、自分自身の苦しみを乗り越えていること。自分が救われたいから人を救いたいという動機で占い師やセラピストになってもうまくいきません。

そして、鑑定の時間はとにかく集中。客の話に耳を傾けて、自分ができる限りの力をすべて出して占う。鑑定という限られた時間でも、誰かにしっかりと寄り添ってもらったという感覚が得られれば、自分の人生にも何かの意味があると気づけます。世界とのつながりを再確認できれば、そこに開運の糸口があるのです。

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