断食施設といえば必ず名前が挙がる伊豆高原のやすらぎの里。

私がやすらぎの里を好きなのは、断食やヨガをうたっているけれど、あやしげなスピリチュアル風味はまったくないから。そして、富裕層の匂いがするところも気に入っています。

初めて滞在したのは15年ほど前。車で来た友人が駐車場に泊まっているのが品川ナンバーの高級車ばかりだと言います。この時は週末を利用した3泊4日の高原館だったので、1週間も休めないという仕事が多忙な人が多かったのでしょう。館内ではジャージ姿で過ごすので、見た目からはお金持ちとわかりません。そして断食施設なのにスリムな人が多いのにびっくりしました。

今回利用した本館6泊7日は小さめの洋室、シングルベッド、机、洗面付きの小さめの洋室で115,500円。断食、デトックス、養生食、糖質制限食などのコースがありますが、すべて同じ料金。断食が同じ料金は、体調を崩した場合のケアが必要ですし、一週間ずっと断食するのではなく、計算し尽くされた回復食が出ます。温泉と岩盤浴があり、マッサージ、ヨガやウォーキング、各種講座(参加自由)などプログラムも充実。アルコールを追加注文することもないし、お茶もいろいろ用意されて外のカフェに行くこともありませんから、お土産を買う以外お金はほとんど使いません。

 

やすらぎの里を創業した大沢代表は岩手県の三陸海岸沿い出身。東京のスーパーに就職して仕入れを担当し、オーストラリアのワーキングホリデー、東南アジアとインドの放浪の旅に出ます。帰国後は自然食のペンションで働いたことからホリスティック医学に興味を持ち鍼灸学校でも学んでいます。伊豆の元国鉄の保養所を改装しやすらぎの里を創業。これが今の養生館です。2006年に高原館が誕生。私が利用したのはオープン間もない時期でした。どちらも評判がよく満室キャンセル待ちが続いたので、2017年に新館(現在の本館)をオープンさせました。

いろいろと苦労があったそうですが、大沢代表の経営手腕には目を見張るものがあります。コロナ禍で宿泊業が大打撃を受けている中で満室を続け、客からのクレームもほとんどないでしょう。そして、今でも本館の入所者全員に面談を行い、朝夕のヨガのレッスンや午後のアクティビティの運転手も務め、人手がなければ雑務一切をこなします。

人を相手にする商売はこうでなくては。顧客を満足させ、スタッフを育て、適正な価格をつけて利益を出す。「断食施設でそんな値段? 1泊2日食べ放題で1万円以下の宿もあるのに」、「本当に肥満で困っているけどお金がない人も利用できるように、もっと安くすべき」なんて客は相手にしなくていいのです。

これは占いの仕事にも通じます。「座って話しているだけでそんなにお金を取るなんて」「悩んでいる人からお金を取るなんて私にはできない」という雑音にわずらわされる必要はないのです。

そして大沢代表は15年前からまったく老けておらず、スリムな体形を維持。まさに広告塔です。占い師は自分のことを占えないとはいいますが、高圧的で感じが悪く、幸運に見放されお金に困っている占い師に観てもらいたいという人はあまりいないのでは。

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