不要不急の外出は控えるように散々言われていますが、年に一度か二度しか回ってこない三合の吉方位ははずせません。丑の年の巳月、酉の方位すなわち西に行って巳酉丑を完成させるために、がらがらの特急あずさに乗って甲府へ向かいました。

甲府のドーミーインに連泊後、石和(いさわ)健康ランドへ。温泉地なのにスーパー銭湯を選んだのは、石和は団体客向けの温泉宿が多く一人旅には敷居が高そうだから。

立ち寄り湯にしてそのまま帰ってもよかったのですが、せっかくなので一泊すること。新館のホテルには女性専用フロアもあります。部屋番号は451。易の卦に置き換えると風雷益の初。三合金局の吉方位に大いにふさわしいとうれしくなりました。

石和健康ランドの大浴場は老朽化が隠せませんし、地元のご常連に高齢者が多いのか、サウナのテレビのスピーカーが大音量なのには閉口しました。でも、水風呂は深くて気持ちがいい。そして露天エリアに出てみると、まず目に入るのが水晶洞窟風呂、その名も「輝石洞」。コンテンツ会社が作ってくれた私の占いサイトは「輝石推命占」です。

ととのい椅子に座ると、目の前に迫る甲州の山。雨上がりで霧がかかっています。私の日干の戊(つちのえ)にとって財は水なので、まさに金回りのいい自分を鏡で見るかのよう。そして、五行の水は真夜中の暗さ、冷たさですから、いくらお金があったとしても目立たない使い方がよしとされます。高級なホテルではなく、鄙びた健康ランドこそふさわしいのです。

甲州の山々は金の鉱脈に恵まれた宝の山。時は初夏、青々と茂った山は温泉を湧出させる火の力に満ちています。木火土金水の完璧な周流です。サウナと水風呂の交互浴でトランス状態になったところでこの景観を目にすると、五行の周流に自分も巻き込まれような気がしてきました。

 

翌朝は、健康ランドのお隣のワイナリーに。モーニングサービス550円のドリンクにはワインも選べます。この旅ではサウナを満喫するためにずっとアルコールを休んでいましたが、旅の終わりの朝に解禁。酉にさんずいをつけると酒。西を司る七赤金星(易では兌、沢)は口にまつわるすべての喜びを象徴します。コロナで会話は封じられていますから、飲食の楽しみに走りました。

今年の丑月は6月4日まで。まだ西の吉方取りをしていない方は、旅行は無理でも、西の方位に出かけて美食を楽しんではどうでしょうか。

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