先月末に起きた埼玉県八潮市の道路陥没事故。

土が欠けてできた穴から八卦の坎(かん)を連想しました。坎はなじみのない漢字ですから、土が欠けると覚えました。五行では水。なぜ坎が水になるかというと、大地が欠けたところに水が流れ河川となるからです。

坎(水)は、深い洞察や親密な関係を示す一方で悩みや苦しみを意味し、易では水がからむと困難な状況の卦となりがちです。

八潮の八は八卦の八だし、潮も水にからんだ漢字。そんなこともあり、今回の事故が今後の日本の暗い成り行きを暗示しているような気がしてきました。

もう日本は全国の道路インフラを支えていく力がないんじゃないか。老朽化していく道路は定期的な点検と保全が必要ですが、人もお金も足りない。犠牲になったトラック運転手が79代というのも象徴的です。繁栄を極めた国が衰退に転じていく状況を私たちは目の当たりにしているのかもしれません。

救いがあるのは、マイナスの状態がずっと続くわけではなくそこを打ったら転じていくという易の教え。衰退国家なりの生き残りの道をさがせば、どこかに活路が見つかるかもしれませんし、やみくもに成長や拡大を目指さなくていい社会は精神的には楽な面もあるでしょう。

 

易では、上卦を相手、下卦を自分として身の処し方を考えます。これからの日本が坎(水)だとしたら、自分はどの八卦が象徴する生き方をすればいいか。

貧乏な小国に転落しても、日常のささやかな喜びを大切に楽しく過ごす。兌(沢)を選んで水沢節(すいたくせつ)です。自堕落にならないようにある程度の節制は必要です。

あるいは、老いていく国の老婆としてすべてを受け入れ、人との交流を楽しむ。水地比(すいちひ)です。老婆までいかなくて、年増の女なら水風井(すいふうせい)。毎日の水汲みをしっかりこなしつつ、周囲にも水が行き渡るように心を配る好ましい生き方です。

避けたほうがいいのは、考えてばかりで行動に移さない艮(山)や、やみくもに前に進もうとする無鉄砲な震(雷)。

易を学べば、こんなふうに日々の出来事を俯瞰して眺めて、生き方の指針が得られます。

杏子さんが久々に易の講座を開催します。一通りの知識を身に付けたら、後は実践を重ねて自分なりの八卦の読み取り方を作っていきます。毎月開かれる易の読み会がいい機会になるでしょう。易は決して暗記ものではなく、シンボルを元に発想を広げていく頭と心のエクササイズ。11日の配信ではそんな話もできたらと思います。

立春が過ぎ、本格的に乙巳年がスタートし、丙午年を1年後に控えるこのタイミングで易を学び始めてみるのはいかがでしょうか?

 

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