占いの学校では命術と卜術の両方を学ぶように指導されましたが、私は卜術のほうが向いています。そして「生まれた瞬間を元に占うのも、一種の卜術とも言える」と聞いたことがあります。
ある人の命式やホロスコープを鑑定するのに、教科書の順番に従った項目を羅列していくより、見た瞬間にぱっとひらめいた言葉を口にするが断然おもしろいし、当たると思います。易も、卦辞と爻辞を伝えるだけなら、岩波文庫『易経』を買えば誰でも占えるわけで、占的を聞いて卦のどこにメッセージを見つけるかが勝負です。
「それは単なる思い付きでしょう?」「どこに根拠があるんですか?」と突っ込まれると返す言葉がありませんが、そんなことを言う人はそもそも占いなんて信じないでしょう。
先日の日曜日、ウラナイ8号室の易とタロットの読み会にダブル参加。タローマンかるたは楽しい。突飛なカードが多いので、意を決して大胆に読む練習ができます。
玉紀さんがウラナイ8号室まほろば通信でこんなふうに書いていました。
勉強しすぎてる人ほど、溢れ出る知識の中から「えいっ!」と要点を絞り込んで、ぎゅっと凝縮する胆力を鍛える必要があります。
そうそう、胆力! これこそ占いを学ぶことを通してで私が手に入れたいと願っている力です。
胆力の語源を調べると、肝臓で作られる胆汁を蓄えるが「胆のう」。度胸や勇気を生じる臓器であり、胆の働きが活発になると肝が据わった決断ができるようになります。
で、胆力さえあれば、卜術であざやかな答えを出せるのですが、百発百中で当たるわけではありません。はずれることを恐れるのではなく、思い切って口に出す。卜術は胆力を鍛える格好のトレーニングです。
そして、相場も胆力。上がるか下がるかわからけれど、とにかく買おう、売ろうと注文を注文を出すときこそ胆力の出番です。
アメリカ株の教科書とされる『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者、バートン・マルキール氏はプリンストン大学経済学部の教授。相場でも儲けているようですが、アカデミックな経済学の世界では、相場で儲けている学者は尊敬されるどころか、うさんくさいと思われるそうです。
そういえば湯島聖堂の易経講座で「易を使って占うなんて、そらおそろしい」という東洋哲学の教授もいました。経済学を学ぶのと相場で儲けるのが異なるように、占い理論を学ぶのと当てるのは別の次元なのでしょう。
ともかく、胆力さえあれば、人生のここぞという場面で決断できます。それが当たるか外れるかは誰にもわかりませんが、決めなければ次の展開はないのです。