今年も残すところあとわずかになりました。

と言っても、東洋占術の新年は2月の立春から。その一方、易では一陽来復の冬至に一年間の成り行きを占います。改めて冬至の年筮にご参加してくださった皆様に御礼を申し上げます。

それぞれにふさわしい卦が出て、最も印象的だったのは緊張のあまり筮竹を持つ手が震えていたシーン。そうです、私もそんな感じでした。最初にならった易の先生が厳しい方で、易を立てる時、自分なりの解釈を発表する時も緊張のあまり胃が痛くなっていました。日常的に易を立てていると、つい気軽に占ってしまいがちですが、易神におうかがいを立てるという厳粛な気持ちを忘れてはいけないと自分を戒めました。

タロットで占ったもらった時、ついカードに触ってしまって占い師からきつく叱責されたことがあります。その占い師は自分のカードに強い思い入れがあり、他人が触ってしまうとカードとの絆が壊れてしまうと考えているのでしょう。

私は道具に思い入れがないので、筮竹は誰に触ってもらってもOKなのですが、最大のタブーは同じ占的で繰り返し占うことです。

山水蒙(さんすいもう)の卦辞。

初筮(しょぜい)は告ぐ。再三すれば瀆(けが)る。瀆るれば則(すなわ)ち告げず。

偶然性で占う卜術(ぼくじゅつ)の鉄則です。

幼い者が誠心誠意で一つのことを占ってくれと頼むときは、教えてやろう。こちらを信じないで、二度三度、かさねて占ってくれというのは、占筮(師道)の神聖さを穢すもの。そのようなときは、教えてやらない。(本田濟『易経』)

ウラナイ8の年筮で杏子さんが兌為沢の二爻を出し、数字の2が3つ連続して出たのに驚いたのか、撮影用に筮竹を再び持った杏子さんがまた八払いを始めました。そして出たのがまた2。そこで怖くなって私は止めましたが、そのまま出して成り行きをみたほうがおもしろかったかも。人それぞれに易神がいるとすれば、杏子さんの易神は小さなことは気にしない大らかなタイプです。だからこそ杏子さん主催の易の読み会が毎月開催されていて、私もできる限り参加させてもらっています。

今回、玉紀さんの呼びかけで初めて年筮を立ててみた人もたくさんいらっしゃるでしょう。新たな年中行事として好奇心から立てたのでも、それはそれでまったく問題ありません。易には「笑って問えば笑って答える」という言葉があり、ぴんと来なくて忘れてしまえば、それまでのこと。占う人それぞれにふさわしい卦が出たはずです。

 

その後、私に出たのは杏子さんとぴたりと同じの兌為沢二爻。易神の臨在をはっきり感じました。

8月の阿佐ヶ谷七夕祭り占いイベントで私が連想したのが兌為沢だったからです。

兌為沢は二つの沢がくっついて水脈を通じて潤し合う形。麗(つらな)る沢。麗沢大学の麗沢です。沢が二つで麗しく、ますます水量が増します。君子はこの卦を見て「朋友講習」、すなわち「友人が集まって一緒に学ぶ、これ以上の喜びはない」と読みます。

ウラナイ8のおかげで、易という共通言語で仲間とつながる喜びを実感した冬至。来年も機会があれば、占いの楽しさに触れるイベントを企画したいものです。

毎回、易の読み会を開催してくれている杏子さんと年筮で同じ卦と爻を得たことは、同卦異占の格好の練習問題。同じ兌でも杏子さんと私でどんな出方をするか、その違いに注目して一年を送ります。

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