昔の易の本には相場読みが書かれていますが、株や為替の変動が占いでわかるのなら、占い師はみんな金持ちになっているはずです。

占いのロジックを身に付けたところで、本人に金運がなければ相場で儲けることはむずかしいと教わりました。それに、いくら当たる占い師でも、元手がなければ勝負になりません。たとえば5%の運用益を出したとして、10万円なら5000円、1億円なら500万円です。

真っ当な人は相場に手を出さないものでしたが、今は政府から老後の資金は自分で増やせと言われる時代です。献血会場でのボランティア占いでも投資関係の話を聞くようになりました。

たとえば、「仕事は飲食のアルバイトと投資」という若い人。相談内容が投資ではないので、聞かれていないことに口を出すことはしません。投資詐欺のニュースをよく耳にしますが、もしかしたら敏腕トレーダーで着実に利益を上げているのかもしれません。献血に来ているぐらいだから、根はまじめでしょう。あやしげな投資だとしても、回しているのは余剰資金であればいいのですが。

 

先日、占ったのは60代前半のまじめそうな人。相談内容は定年後の仕事について。

「まとまった退職金が出たのですが、妻の友人が確実に儲かるというので投資したら、全額なくなってしまいました」とおっしゃいます。

うわー、なんでそういうのに全額つぎ込んでしまうのでしょうか。上場企業の株とか投資信託なら目減りすることはあってもゼロになるのはよほどの場合です。若いうちから投資に手を出すと額に汗してお金を稼ぐのが馬鹿らしくなるのであまりお勧めしませんが、ある程度の額で投資の免疫をつけておいたほうがいいのかもしれません。

「だから定年後も仕事を続けようと思いまして…」と淡々と語り、特に奥様を責めてもいないようすなのは、自分でも納得してお金を出したからでしょうか。

お金がなくなったのはお気の毒ですが、この態度には感服しました。もし私が投資のお金がゼロになったら、とても平静ではいられないでしょう。目先の欲のために占いを使っても、本人の器が小さければ貧しい人生になります。

献血のボランティアもこの秋で4年目となりました。どうしようもない人を占って悪運をかぶるリスクは少なく、普段の生活では聞くことができない体験を話してもらえる貴重な機会です。

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