レモネードスタンドはアメリカの夏の風物詩。子供たちが家の前の路上にテーブルや段ボールで作ったスタンドで自家製のレモネードを売ります。お小遣い稼ぎのためだけではなく、子供がお金の流れについて学ぶ機会であり、近所の大人たちがお客さんになってあげたりします。
このところ延々と観ているネットフリックスの『グレイスとフランキー』にレモネードスタンドのエピソードが出てきました。
弁護士の妻であり二児の母、さらに化粧品ビジネスを立ち上げたやり手のグレイス。長女のブリアナに事業を譲ったはずなのに、会社が傾いていると知ると首を突っ込んできました。そこで子供時代のレモネードスタンドの思い出を語るブリアナ。
スタンドや看板を手作りして、客を呼び込んだり、すべてが本当に楽しかった。
「利幅が薄い」とママが乗り込んで来るまでは。
場所を替えて、レモネードを薄め、大人向けに「シトラスブリーズ」なんてネーミングにして。
「ごめんなさい、すごく傷ついたのね」とグレイスは謝るものの、「でもしっかり儲かったでしょ、そのおかげで欲しかったジャケットも買えたじゃない」と相変わらずの姿勢を崩しません。
もしシングルマザーの商売だったら、グレイスのアドバイスは正しい。とにかく稼がなければ子供と食べていくことができないから。でも、子供の社会勉強も兼ねている手作りのレモネードスタンドです。儲けは増えてもブリアナがちっとも楽しくなかったと恨みに思っているのもよくわかります。
この文章を読むのは、占いに関わっている人がほとんどでしょう。占い師という仕事は、資本も資格もなく始めることができますが、着実に利益を出し続けるのは簡単ではなりません。ビジネスとして確立したいのなら、先人のアドバイスも有意義ですが、どんなふうに売りたいのかという基本方針は自分で決めましょう。
週一回、中華街の占いの店に座ってみて、それはそれで楽しかったけれど、いつまでも続けるものじゃないと思ったのは私に合っていなかったから。今は月一回、新宿の献血ルームでタロット占いをやっています。ボランティアでお金をもらっていないと言うと驚かれることがあるのですが、私にとってはレモネードスタンドのようなもの。占い師に絶対必要な勘を磨く修行の場であり、本から得る知識以上のものが身に付きます。そして、ささやかな積善の機会でもあります。
また、献血者にはめったに邪悪な人はいないので悪運をかぶる危険もありません。鑑定料でいくら儲けても、占い師の運が悪くなっては元も子もありません。特に私は勘だけで勝負している相場師の仕事もありますから。