7月のコロンビア行きを前にガルシア=マルケスの著作や関連本を読み返しています。
『百年の孤独』『族長の秋』など彼の作品には占いがよく出てきます。また、ガルシア=マルケスの両親が結婚できたのも占いのおかげ。父は私生児だったのに加え、結婚前に婚外子が二人もいましたそんな条件の悪い男と結婚すべきではないと母の両親は猛反対したのですが、結婚を強行する心の支えとなっていたのが、街角のジプシー女のカード占いです。二人が結婚すれば「長く幸福な生涯を問題なく生きる」と占ったのです。問題ないどころか、この結婚のおかげでノーベル文学賞作家が生まれました。この占いのエピソードは『コレラの時代の愛』に使われています。
そしてガルシア=マルケスは自分の太陽星座である魚座をかなり気に入っていたようです。彼の小説は伝説や幻想を本当のことのように語るマジック・リアリズムと呼ばれますが、ルーツはスペイン北西部のガリシア地方出身の祖母の語り口です。祖母は家の中を歩き回る亡くなった近親者が今でも生きているかのように話をしては幼い彼を怖がらせ、驚くべき予知能力を持っていました。『百年の孤独』の構想をずっと温めていたものの、どう書けばいいのか悩んでいた彼は祖母が語るかのように書けばいいのだと思い至ったのです。そして、祖母の「不可能は存在せず、合理的解釈が何の意味もなさない超自然の世界」はガリシア人特有の魚座的性質だと書いています。『百年の孤独』は世界的ベストセラーで、昨年は日本で文庫化されたことが大きな話題になりましたが、合わない人は最初の1ページで投げ出します。きっと魚座的なものが苦手なのでしょう。
長年の交友があったジャーナリストからは、ガルシア=マルケスはこんなふうに描かれています。
当然のことだが、彼は以前に比べると別人のようになっている。かつては魚座の性格を思わせたが、今では牡牛座に代わっている。
若い頃は痩せていて不安そうに煙草をふかしていたのが、禁煙して体重が10キロ増加し、頑健でどっしりした感じに。ボヘミアン的な生活を送り、新聞社の編集室やバル、どこかの部屋で夜を明かしていたのが、今では日々の予定は前もって決められています。執筆は朝の9時から午後の3時まで。その後、スペイン風の遅いランチを取ります。
なるほど、魚座の幻想だけでは大作は生まれません。タイプライターに向かい、幻想の世界を一語ずつ打ち込んでいくという牡牛座的勤勉さが加わって、マジック・リアリズムが誕生したのです。