仁田丸久『周易裏街道』には、易の解説に加えて開運の極意が散りばめられています。

仁田氏は明治33年生まれで昭和48年没。神戸の人で国際貿易の商社で働いてきました。私の実家は神戸だったので、帰省の折に仁田氏が易の講義を行っていた自宅のある諏訪山のあたりを歩いてみたこともあります。商売人として有能で英語にも堪能なところが、単なる易の大先生とは一味違って、心惹かれるところです。

最も参考になったのは、金離れのきれいな大親分の話です。

この親分、石か砂のように気前よくお金を出すので人気が非常に高く、よくあそこまできれいにやれるものだと誰でも感心していました。その秘密は、金を散らす前の晩に開く札束の送別会。

お前さんに自分のところに来てもらうについちゃ、並大抵の苦労じゃなかった。お前さんがたの一枚についても、粒々辛苦の結果として自分のところへ来てもらったもんだ。しかし、自分が男を立てるために、やむにやまれず明日はお前さん方を、塵芥のように人にくれてやらにゃならねえ、自分としては本当はもっとお前さんにいてもらいたいんだから、どうか一つ悪くおもわんでくれ。

札束にこう話しかけるのです。「お金の声を聞いて、行きたいところに行かせる」という私の投資術はこの送別会にヒントを得たものです。

投資初心者は為替変動のリスクを避けるために、ドルコスト平均法で毎月一定額をドルに換えることが推奨されています。私も試しに少額の両替から始めたのですが、お金からの「早く私もドルにして」という抗議の声が殺到。その結果、資産のほとんどをドルに換えて円安の下駄を履かされた超楽勝のニューヨーク相場が始まったのです。コロナショックで狼狽売りをせずに済んだのも、円安の下支えがあったからです。

とはいえ、先月のトランプ関税ショックでも肝を冷やしました。しかし、お金の声を聞くと日本には戻って来たくないと言ってますし、現金化されるのも嫌がります。これぞという企業の株となって、経済の血流となり世界を駆け巡りたいのです。トランプ関税は大きな障壁となりますが、かといって自宅にお金を抱え込んでいるわけにはいけません。お金の意思で外に出たのですから、あまり心配しないようにしています。

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