今年の東京大学入学式で祝辞を送ったのはグローバルファンドの馬淵俊介保険システム・パンデミック対策部長。

東大卒業後、国際協力機構JICA、マッキンゼー、世界銀行、ゲイツ財団というため息がでるような経歴の持ち主ですが、中学と高校時代は野球ばかりやっていて「東大には一浪して入り、英会話の授業では一番後ろの席で下を向いて先生に当てられないようにやり過ごしていた」と正直に告白。

それでも、文化人類学に興味を抱き途上国への旅に明け暮れるように。医者も薬もない状況で命を落とす人々に衝撃を受け、進路が決まりました。

馬淵氏の功績の一つは、西アフリカのエボラ出血熱緊急対策です。最悪のシナリオでは死者は70万人を超えていつ終わるかわからないという予想だったのを、1万人強にとどめました。

それを可能にしたのは、大学時代の文化人類学、ゲイツ財団の感染症対策、マッキンゼーのスピード感と問題解決力の3つの組合せです。

 

一つだけの能力で世の中に打って出るには、かなりの専門性が求められます。しかし、そこそこの能力でも二つ持っていれば成功の確率はぐっと上がります。

私の職業人生のほとんどは文章を書くことで成り立ってきましたが、書くのが得意な人は世の中にけっこういます。小学校の同窓会で「作文、得意だったからライターになったんだね」と言われたことがありますが、私の作文能力はせいぜいクラスで一番か二番ぐらい。全国レベルで戦えるほどではありません。

出版業界でコンスタントに仕事を得ていたのは、英語力があったから。かといって帰国子女でもないし、留学経験もありません。それでも、普通よりちょっと英語ができるということで、競争相手はぐっと少なくなります。

さらに、東洋占術。風水や九星気学の開運術は女性誌の永遠のテーマ。西洋占星術やタロットは競争が激しいので、東洋を選び講座に通って知識を蓄えました。

馬淵氏のハイクォリティな組合せには遠く及びませんが、出版不況の中でコンスタントに原稿を発注してきたのは3つの能力があったからです。

 

四柱推命の講座で「昔は手先が器用というだけで職人として生計を立てることができたけれど、今はむずかしくなってきている。そした時代の変化も考慮して命式を読む必要がある」と教わりました。

趣味で日本語教師をやってみようと通った養成講座でも「単なる日本語教師は薄給だけど、専門分野をプラスできれば高給ポジションもありえる」と聞きました。

得意分野は一つに絞らないこと。占い一筋もいいですが、そこに何か、かけ算できるものがないか考えてみてはどうでしょうか。

 

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