ミセス・グリーンアップルは「この世界はダンスホール」と歌い、私は「この世界は地火明夷」だと考えています。

このネタを思い付いたのは、昨年夏の「コロンブス炎上騒動」がきっかけです。メンバーの3人がコロンブス、ナポレオン、ベートヴェンを演じ、類人猿に音楽や乗馬を教えるというMVが人種差別的だと指摘されました。この曲はコカ・コーラのタイアップ曲ですから、大手の広告代理店がからんでいるし、コカ・コーラは世界有数の多国籍企業。どうして誰もおかしいと思わなかったのかとも話題になりました。ミセス・グリーンアップル側は変な理屈や言い訳をせず謝罪。八卦の火は人気芸能人を象徴しますから、世の中の非難を一身に受ける姿がいかにも「地火明夷」、傷付いた大スターです。さらにコカ・コーラのコーポレーションカラーが真っ赤であることも、太陽が地に落ちたように連想されました。

再び仁多丸久の『周易裏街道』から引用すると、「人生において自分の賢さを隠し馬鹿になって辛抱するはなかなかむずかしい。その時にいかに馬鹿になってみせるかを教えている」のが地火明夷です。ミセス・グリーンアップルは代理店やスポンサーに責任転嫁せず、自分たちが馬鹿だったという態度を立派にやり通した。だから傷ついたのは一時的で済んだのではないでしょうか。

 

易を学んでよかったことの一つは、こんなふうに世の中に起こる事象に名前を付けられること。

易になじんでくると、わざわざ卦を立てる必要はなく、「ああ、これは山地剥だ」「沢風大過だ」と連想できるようになります。同じ卜術であるタロットでも「まるで吊られた男のよう」などとと思い浮かべることがあるのではないでしょうか。

そのとき苦境にあったとしても、とりあえず「これは○○だ」と状況に名前を付けられたら踏ん切りがつきます。体調が悪く苦しんでいたとしれ、死に至る病だったら知りたくないという人もいるかもしれませんが、病名がわからないあやふやな状況はかなり苦しいのではないでしょうか。

易では、まず8パターンに森羅万象のすべてを当てはめることを学びます。次に8パターンを二つ重ねた64パターンの名前をおぼえます。これだけあれば、どんなことが起こってもどれかにすんなり収まるようになります。占的をきちんと立てて易の神様にお伺いを立てる姿勢で卦を出すとさらにクリアな答えが得られますが、すでに起こった現象について易で考えてみるのも楽しいものです。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事