先日、ウラナイ8号室で試験的に八卦のマンダラチャートの研究会を開きました。
「東西占術で読む欲望と相性」のオンライン配信で大谷翔平のマンダラチャートを紹介する際、私も書いてみようとしたのですが、全部のマスを埋めることはできませんでした。
そこで思いついたのが中央を囲む8つのマスを八卦に対応させるという方法。中央の目的について、まず何から始めるか(震/雷)、人に見せたいこと(離/火)といった具合に考えていくのです。
八卦を自分のパターンに落とし込んでいく作業です。易や九星気学に親しんでいないとむずかしいでしょうが、だからこそこれから学ぼうという人には格好の勉強になります。そして、東洋占術に限らずぼんやりした概念を現固化するのは、占いでは大いに役立つでしょう。
昨年12月に発表された『三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2024」』の大賞に選ばれたのは「言語化」です。今さら?という感想を抱いたのですが、「〇〇化」という言葉はありすぎて、いちいち辞書に載せていない中、「言語化」はとても重要な概念として新語として採用されたと説明されています。
もやもやしてうまく言葉にできないことは占いに限らず、世の中にけっこうあります。特に新しい事象が目まぐるしく登場する現在では語彙が追い付いていきません。それをうまく言葉にできるとすっきりする、その感覚が「言語化」。例として、三宅香帆『「好き」を言語化する技術 推しのすばらしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』という新書のタイトルが挙げられていましたが、好きなことは自分の言葉で語りたいものです。
その点、易は陰と陽の組み合わせの8パターンを、それを重ねた64パターンに名前が付いているので自分の言葉を探すヒントになります。マンダラチャートでは、まず大きな8つの事象を書くので、それを易の上卦(状況)として、マスの位置から下卦(自分)を出し、64卦から考えるという方法もあります。震(雷)なら、左回りに震為雷、雷風恒、雷火豊、雷地豫、雷沢帰妹、雷天大壮、雷水解、雷山小過が8マスにあてはまります。
改めて、この世に起こるすべての現象を八卦で言語化しようとした古代中国人の発想に脱帽しています。そして、八卦を使わず徒手空拳で64マスをすべて埋めた大谷翔平。偉業は、まず言語化からスタートしたのかもしれません。