原田ひ香の『その復讐、お預かりします』にこんな一節がありました。
遺産相続でもめ事が起きた時、後で必ず幸せになるのは遺産を放棄した方。不思議なことに、遺産を手に入れた方はなぜか人生がうまくいかなくなる。
父方の一族の遺産をめぐる骨肉の争いを目の当たりにして、改めて放棄してよかったと思いました。ただし、「遺産を放棄すれば、人格者として尊敬される」ということはなく、欲にまみれた一族の中では変わり者と思われているだけです。それでも、放棄したことでの心の安定があるし、相場師としてうまく立ち回れているのも、この時の決断があったからこそでしょう。
美田を残された子孫は親ガチャの当たりのようでいて当たりではありません。
働かなくても自然資源のリン鉱石で食べていけるというナウルに生まれた人々の悲劇。
働く必要がないので、ゴロゴロ寝てばかりで毎日外食。全国民の90%が肥満で30パーセントが糖尿病。親から子へと伝えられていた勤勉の美学は馬鹿にされ、とことん自堕落な生活へ。そして、リン鉱石が枯渇すると国家として立ちいかなくなりました。
富がなくなったからまじめに働こうとは考えず、国全体でマネーロンダリングに手を染め、うまくいかなくなるとパスポートを乱発してテロリストから裏金を稼ぐように。
お金はあればあるほどいいというわけではありません。器以上のお金が入ってくると人生は大きなリスクにさらされます。