昨年から延々と取り組んでいる易の本。300ページ近いボリュームなので、書いても書いても終わりが見えず、とにかく全部書いてしまおうと完成度を無視して進めてきました。

ようやく全文を入稿して一息つけるかと思いきや、校正がとんでもなく大変。杏子さんと「泊まり込みでもしないと無理」となり、御岳山の宿坊に二泊。原稿を書いた杏子さんと私だけでは視野が限られるので、ゆみこさんにも読者側として参加してもらいました。数多くの占例や易の学び方の座談会が掲載できたのは、ウラナイ8易の会のメンバーのおかげです。今回の易の本は、一人ではとても実現できなかったでしょう。

そもそも易の執筆の声がかかったのは、玉紀さんが年筮や東洋占術の会を主催し、ウラナイ8を立ち上げてくれたからです。すべては南阿佐ヶ谷のトナカイから始まりました。

 

トナカイがあった場所の近辺の飲み屋さんに時々足を向けます。トナカイの後地は、花屋さんになっています。

連休中にアレンジメントフラワーを贈る機会があり、お願いしてみました。

花屋さんの名前は「時の花」。卜術は占おうと思ったタイミングがすべてで、その時点ですでに答えが出ていると言われます。占いの店の後に出店した花屋さんにぴったりで、特別な場所と特別な時間を象徴するような店名です。

連休初日に時の花を訪れて注文。イメージカラーは黄色。バラの専門家にプレゼントするので、バラ抜きで。

一人で切り盛りしているという店主の女性は難色を示します。

「花を渡す日の前日は定休日。仕入れのチャンスはその日の朝しかありません。バラはアレンジメントの中心となる花なので、それが使えないとなるとメインの花は限定されます。連休中は市場に出る花も偏るので、かなりむずかしい」

この時点で「この花屋さんは信頼できる」と確信しました。フリーランスや自営業にとって、仕事を断るのは勇気が要ること。これで断ったら次はないかもしれないという不安感から無理して引き受けることもあったのですが、気分は乗らず出来は今一つ。引き受けるべきじゃなかったと反省したものです。

それでも、今回の花はぜひ引き受けてもらいたかったので、ウラナイ・トナカイの話をしてこの場所にゆかりのある方に贈る花だと説明しました。完成度の高いアレンジメントができればそれに越したことはないけれど、限られた条件の中でこの店に作ってもらうのに大いに意味があると。物語フリークの私は、花を贈るというより物語を贈りたいのです。

そうしてできあがったアレンジメントフラワー、とても喜んでいただけました。

仕事はほぼ引退しかかっている私ですが、それでもぽつりぽつりと依頼があります。老化のため気力も能力も衰える一方ですから、昔のように片っ端から引き受けて力業でまとめるのはもう無理。断るべきものはきっぱりと断り、それでも私がやらなければいけない理由が提示されたら潔く引き受けて全力を尽くす。花屋さんに教えてもらった仕事の極意です。

ちなみに花屋さんに聞いた話では、ウラナイ・トナカイの前も花屋さんだったそう。出店を決めたのは大きな通りから一歩入ったところなので、一人で店をやっていくのにちょうどいい場所だから。これから花を買うならこの店にしようと決めました。

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