易の64卦を覚えるのは大変ですが、まずペアで覚え、全体の流れは説卦伝を元にイメージを膨らませていきます。

父親の乾為天(けんいてん)、母親の坤為地(こんいち)から子供が生まれるのが水雷屯(すいらんちゅん)、子供は教育しなくてはいけないから山水蒙(さんすいもう)という流れは先週のデイリーメッセージで紹介しました。

子供は教育すると同時に食べさせて養わねばなりません。だから山水蒙の次には飲食の卦である水天需(すいてんじゅ)が来ます。食べ物の恨みはおそろしく、争いが起こるから天水訟(てんすいしょう)、争いといえば軍隊が出動で地水師(ちすいし)といった具合。

私が好きなのは雷火豊(らいかほう)から火山旅(かざんりょ)そして巽為風(そんいふう)への流れです。

雷火豊は「豊」という漢字とは裏腹にどこか暗いイメージがあります。易の基本的な考えは「すべては変化する」。太陽は昇りきったら必ず沈むように、豊かな状態にずっととどまっていることはできません。「豊」に限らず、「泰」とか「益」など大吉っぽい卦が出たら警戒する必要があります。泰は否、益は損へと続きます。そして豊かになれば安らかな場所を失うから、雷火豊の次には火山旅が続くのです。

そして火山旅の次は巽為風(そんいふう)です。

知らない土地に旅すると心もとなく、保守的な地ではなかなか受け入れてもらえません。「郷に入れば郷に従え」というひたすら柔順な姿勢が必要です。八卦の巽は九星気学では四緑木星。旅や遠方を象徴し、うまくいけば商談や良縁がまとまります。

九星気学は気質や運勢を占うというより、いかに動いて幸運の波に乗るかを示す開運術です。いくら方位を学んでも家に引きこもって誰とも会わなければ、開運するどころか運気はよどむ一方です。旅に出て、変幻自在な風のように柔順に行動すると運気も発展していきます。

私がJALの「どこかにマイル」をよく利用するのは、交通費がかからないというメリットに加え「4つの候補地のうちどこに当たっても楽しもう」という姿勢を養うためです。普通は目的地があって旅程を組むものですが、「どこかにマイル」では出発日と到着日の時間だけ決めて申し込みます。4つの候補地は選べるのですが、究極の巽為風は最初に出た4つでさっと出かけることではないかと思ったりしています。

そして、村上春樹によると「旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない」。本拠地を離れれば戸惑うことばかり。そこを乗り切れたら、人生全般をスムーズに回す力が養われます。

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