8月下旬のニセコで、資本主義の最前線を探索しました。
https://bob0524.hatenablog.com/entry/2024/09/01/112352
『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英、講談社α新書)では、日本の観光業の敗北を徹底的に分析しています。
日本で観光キャンペーンといえば、真っ先に思い浮かぶのが「ゆるキャラ」に「ご当地B級グルメ」。これでは海外富裕層は動きません。外資の投資は「選択と集中」。富裕層にターゲットを絞ることでニセコを世界リゾートに発展させたのです。
富裕層は金融リテラシーが高いことと同様に、観光リテラシーも非常に高いそうです。最大の特徴は「ノー・フリーランチ」を理解していること。
"There’s no such thing as a free lunch."というフレーズは「タダほど高いものはない」とも意訳されます。起源は19世紀後半のアメリカのバー。飲み物を購入した顧客に無料のランチを提供するのは、ランチの価格は飲み物の売上げで十分回収できるから。ランチが無料だから気が大きくなってどんどんアルコールを飲む客がいれば利益はさらに大きくなります。というわけで「フリーランチなんてものはない」は経済学でもよく使われるフレーズです。
富裕層はこのからくりがよくわかっているから、目先の利益や囲い込みのための無料サービスは逆効果。そうしたサービスは富裕層でない観光客を引き寄せるので客層が下がります。富裕層はそうした場を避けるというのです。
各種クーポンやポイントにあふれた現代生活では、少しでも割引してもらわなければ損だと考える人が大半でしょう。富裕層でない限り、そうしたサービスを利用するのは当たり前です。
でもポイントを貯めるために余計な物まで消費して結局無駄になってしまったという本末転倒の失敗もあるのでは。なぜそうしたサービスが提供されているのか富裕層になった気分で冷静に考えてみるのもいいでしょう。
そして、個人でやっているような店では売り手の利益も考慮したいもの。値下げしたバーゲン品を買うだけでなく、お店の自慢の品もたまには買いましぃう。金銭の支払いは一種のエネルギー交換です。理想はお店と客のwin-winの関係。気持ちよくお金をやり取りできれば、富裕層への第一歩を踏み出せます。