四柱推命の命式、西洋占星術のチャートなど生年月日を元にする占いでは、出生時刻がわからなければ正確さに欠けると言われます。

鏡リュウジ『占いはなぜ当たるのですか』で「イギリスのダイアナ妃の出生時刻には二つの説があり、どちらのチャートも彼女の人生をじつにうまく説明することができる」とあり、ずっと記憶に残っています。イギリス占星術の大御所、ジェフリー・コーネリアスは「個人のチャートが2枚とも有効であったとしてもかまわない」という意見も紹介されています。

四柱推命を学び始めた頃、講座で「役所に届けた日付と、本当に生まれた日付とどちらで占うか?」という質問が出たのです。昔は自宅での出産も多く誕生日がけっこういい加減でした。3月末生まれなら小学校入学が早くなって苦労するから4月初旬にするということもあったそうです。

先生の答えは「社会での活動は役所の日付、プライベートは本当の日付」で、ダイアナ妃のケースのように、どちらの命式もその人を説明するということでした。

 

『周易裏街道』にもこんな話があります。

ある女性の病気が悪くて医者は匙を投げた。二人が占って、雷水解の四爻と火風鼎の四爻を得た。師匠にあたる仁田丸久氏におうかがいを立てたところ、二つの卦から病人は危ないと読んだ。雷水解の「解」はもともと牛の角を刀でほどくという意味の漢字で、解脱の「解」。四爻は「拇(おやゆび)を解く」で、母の子供に対する断ちがたい愛着がほどけてあの世に行ってしまうのでは。そして火風鼎は「鼎足を折る」で、死の必然を意味し、「鼎」という字は二人の人間が向き合って椅子に腰かけて相談している形に見える。医者同士が相談しても、有効な手が打てないのではないだろうか。

仁田氏の読みがあたり、患者は亡くなってしまいます。内科と外科の医師の意見の食い違いもあったとのこと。ところが、後でわかったのですが二番目の卦は火風鼎ではなく風山漸だったというのです。聞き間違いで火風鼎で占断したのならとうてい当たらないはずですが、「これは易の神様が私に、鼎で見させたのだ」と仁田氏は断言し、こう続けます。

こういうことは時々あって「ああ大変なことをした」「まちがいだった」と心配するけれど、実はその錯覚した卦で見たものの方が的中する。作意なくして自然にまちがえたものなら、かえって正しい卦で判断したほうが的中しない。

 

『占いはなぜ当たるのですか』には、こうあります。

占い師に絶妙なタイミングで「誤った」しかし「有効な」データが飛び込んでくる。

周易の講座で「命術も突き詰めていけば卜術になる」と習いましたが、答えが知りたいと占った瞬間のタイミングこそがすべてを決め、占いの神様への絶対的な信頼が答えに導いてくれるのでしょう。

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