先月の福岡・柳川の旅では、川下りの船頭さんが北原白秋の『待ちぼうけ』を歌ってくれました。
軽快な曲調の童謡ですが、歌詞をよく聞くとかなり教訓的。原典は紀元前の中国・宋の時代の説話「守株待兔」(しゅしゅたいと、くひぜをまもりてうさぎをまつ)です。
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良稼ぎ
そこに兔がとんで出て
ころりころげた 木のねっこ待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめた これから寝て待とうか
待てば獲物が驅けてくる
兔ぶつかれ、木のねっこ
畑作業にいそしんでいた農夫が単なる幸運で兎を得たことで、頬杖をついて日向ぼっこの怠惰な日々に。気づいた時は手遅れで、畑はすっかり荒れていました。
過去の成功体験にあぐらをかいて、待ちぼうけになるのはよくあることなので、耳の痛い歌詞です。
まず、社会は刻々と変化しています。昔の常識は今の非常識。人の相談を受け止める立場にある占い師は、世の中の動向を知らないと有効なアドバイスはできないでしょう。
自分の変化も客観的にとらえなければいけません。加齢につれて、若い頃は楽にできたことが、むずかしくなってきます。また、いわゆるJTC(日本的伝統企業)で出世したおじさんが、定年退職後に嫌われることが多いのは、昔の地位のある自分をいつまでもひきずっているから。
人間関係も時とともに変わっていきます。親しいと思っていた相手に疎遠にされたり、昔は仲良かったのにもう会いたくない人も出てくるでしょう。
そして、待っている対象自体がもう自分には必要なくなっていることもあります。人生も終盤に差しかかると、たいていの人は地位や名誉への執着もなくなります。
今の自分は何が欲しいのか、何を待っているのか、方法はこれでいいのか、時々立ち止まって自分の生き方を俯瞰しましょう。四柱推命と算命学では、10年ごとに大運が切り替わるので、生きるテーマとか目標を考えるのに役に立ちます。