二度目のスペイン巡礼が予定通り進めば、このデイリーメッセージが公開される頃にはゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着しているはずです。昨年と違って2週間ほどの短い巡礼なので、デイリーメッセージを書き溜めました。そのため、旅の話が続きます。

 

旅は流転、本は知識のインプットと考えると、五行では「水」。旅に出ようとするたび、これまで読んできた本の影響を改めて感じます。

ムーミンのシリーズで旅人と言えばスナフキンですが、スナフキンのお母さんのおばさんの話も印象的です。

おばさんは持ちものをとても大切にする人でした。子どもがいなかったから、楽しみもなければ苦しめられることもなく、働いたり家事をする必要もありません。美しいものを集め、より分け、磨きたてるのが趣味。

ちょっと耳が痛い話。コレクションは集めていないものの、育児はやったこともないし、介護は終わり、仕事もほぼ引退しし、気ままな日々を送っているからです。

スナフキンのおばさんは、カツレツの骨を飲み込んで体の具合が悪くなり、医者に余命二、三週間と告げられます。

するとおばさんは急に思い出しました。若い時にアマゾン川を探検したいと思ったし、深い海にもぐってみる、噴火している山にのぼる、孤児のために大きな家を建てる、大きなパーティーを開くなど、さまざまな夢を持っていたことを。そのとたん、きれいな品々はまったく心のなぐさめにならず、持ちものでいっぱいの家の中で息が詰まりそうに感じました。

そこでおばさんは、持ちものをみんなにプレゼントすることにしました。スナフキンのハーモニカはこの時にもらったものです。ものがなくなるにつれ、部屋はだんだん広くなり、おばさんの気持ちは明るくなっていきました。
そこで友達全員を集めて大パーティーを開催。一晩中おもしろい話をしていたら、おばさんは大笑いして、お腹から骨が飛び出し、すっかり治ってしまったのです。

おばさんは旅に出ました。深海にもぐるには年を取り過ぎていたけれど、火を吹く山は見物したし、アマゾンにも出かけました。それきり、おばさんの消息は誰も知らないそうです。

こんなに旅ばかりしていると、このおばさんのように行方不明になってしまうかも。それもまた本望か。

死後の後始末は専門団体に委託し、残った財産の寄付も公正証書も作成。誰かに思わぬ手間を取らせないように、いつ死んでも困らない状態を心がけています。

無事に帰国すれば、玉紀さん主催で夏至の夜のお楽しみ会が待っているはず。翌月は阿佐谷でイベントも企画しています。スナフキンのおばさんのように、みんなでおもしろい話をして大笑いしたいものです。

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