星新一のショートショートに「シンデレラ王妃の幸福な人生」という一編があります。

おとぎ話なら「シンデレラは王子様と結婚し、いつまでも幸せに暮らしました」で終わりますが、現実はそんなに甘くありません。庶民の出でお城に入れば、周囲の目は厳しく失敗するたびに「育ちが悪い」と陰口をたたかれます。王子は面食いで衝動的なので美女が現れるたびに浮気が心配。息子が生まれたら、父親に似てどこの馬の骨ともわからない娘と結婚するかもしれず、心労は尽きません。

玉の輿に乗るのは女性の夢かもしれませんが、その後の苦労を想像すると、釣り合いの取れたほどほどの相手がいいような気がします。

 

「現代のシンデレラ」と呼ばれたノルウェーのメッテ=マリット妃。

マリウスという息子がいるシングルマザー。妊娠を知って去った父親はドラッグによる服役歴があり、メッテ=マリットもドラッグパーティに顔を出していました。息子が生まれてからは心を改め、働いて学費を稼ぎオスロ大学の学生に。ホーコン王子は王位継承権も捨てる覚悟で婚約を発表し、国民からは反対の声が大多数でした。メッテ=マリットは涙ながらに謝罪し「過去は変えられません。どんなに変えたいと願っても。しかし未来は変えられます」と語り、国民は態度を軟化し結婚の運びとなりました。シングルマザー率が50%を超えるというノルウェーの国民性もあったのでしょう。

 

これで終わればおとぎ話ですが、やはりそう簡単にはいきません。結婚から24年がたち、連れ子のマリウスは27歳。複数の女性へのレイプや暴行罪で起訴されました。あんなに愛らしかった少年が性犯罪者になろうとは!

メッテ=マリットの結婚は彼女にとってはシンデレラストーリーですが、マリウスにとってはどうだったでしょう。王位継承権はないのに、出自はすべての国民に知られています。母親は王室での生活に慣れるのに必死で、心のゆとりもなく息子をかまってやれなかったのかもしれません。

 

一方、ホーコン王子の姉のルイーセ王女が選んだ再婚相手はアメリカの黒人霊媒師! 日本の皇室でも結婚相手がふさわしくないと大騒動が持ち上がりましたが、それを超えるインパクトです。どんな生まれであっても、人生は一筋縄ではいかず厄介な問題が持ち上がるのは避けられないのででしょう。

 

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