占い師に求められるのは、占術のロジックに加えてコミュニケーション力。黙って座ればぴたりと当てる特殊能力があっても、伝え方が下手では台無しです。
ウラナイ8で開催する易やタロット、インナーチャイルドカードの読み会は、限られた時間でどれだけぴったりした言葉を選べるかの練習という側面もあります。長々と鑑定しても、お客さんが持ち帰るのは印象に残ったフレーズだけということが多いもの。まずはタイトルを付ける練習をしてみてはどうでしょうか。AIを使うこともできますが、数を出せばいいというものではありません。
かつてはボキャブラリーを増やす手段は読書でしたが、今や時代遅れの趣味。電車に乗ってもほとんどの人はスマホの画面を見つめ、本を開いている人なんていませんが、書店や図書館で本の背表紙だけ眺めるだけでも学びがあります。ベストセラーになる本は、読んでみたいという好奇心をそそるタイトルが付けられているものです。
タイトルに惹かれて読んだのが「その幸運は偶然ではないんです!」という本。原書では"Luck is No accident"です。著者はアメリカのキャリアカウンセラーで、職探しの必要のない私にはあまり関係ない本ですが、タイトルが秀逸なので思わず手に取りました。
前書きでこの本のタイトルが生まれた経緯が書かれていました。
タイトルについて何ヶ月も悩み、編集者に出した案は60以上。どれもピンとこなくて、締切が迫る切羽詰まった状況のある日、著者は妻と娘と近所のレストランへ。店に貼ってあった従業員向けスローガンに妻が目を留めました。
成功とは無事故 "Success is No accident"
調理中のケガや器具の故障、あるいはお客さんのオーダーを間違えるなどのアクシデントが起こらなければ、その日はレストランにとって成功と言えるという意味でしょう。
妻は「あなたの本のタイトルにもあんなのはどう? "Luck is No accident"みたいな」と提案したのです。
著者は「このできごと自体が単なる幸運ではない」と述べています。
・妻は、何度も行った馴染みの場所でも、周囲によく注意を払っていた。
・これまで何度か夫に本のタイトルを提案したが拒否されてきた。それでも自分の発見を夫に伝えた。
・妻は貼ってあった言葉を本のコンセプトに結びつけた。
・共著者や出版社は新しいタイトルの提案に対してオープンマインドだった。.
こうした前提があるからこそ、"Success is No accident"から"Luck is No accident"というタイトルが生まれました。ちなみにアクシデントには意図しない事故や災難というネガティブな意味と、予期しない出来事という中立的な意味もあり、レストランでは前者、この本のタイトルは後者の意味で使われています。
私が投資のバイブルとしている「ウォール街のランダム・ウォーカー」は原書では"A Random Walk Down Wall Street"です。ランダムという語感が気に入って手に取りました。山っ気がある人間には響くタイトルです。4月のイベントで私の馬を「ランダムゴールド」と名付けたのもこの本の影響です。
「個別株への投資は長期的にはインデックス投資に勝てない」という同じコンセプトで書かれているのが「敗者のゲーム」、原書は"Winning the Loser's Game"。日本語訳では「勝つ」が抜けているので、ネガティブな印象になっていますが、博打が嫌いなまじめな人にはこのタイトルのほうが刺さるでしょう。
読むに値する本にはいいタイトルが付いているし、いい占いには記憶に残る決めフレーズがあります。
















