杏子さんが開催する八卦マンダラチャートの会では、この世のあらゆることを八卦に当てはめます。
そこで『百年の孤独』も八卦で読んでみました。
ガルシア=マルケスは占い好きで、占星術やトランプ、夢占い、水盤占いなどが小説中に登場します。『奇跡の行商人、善人のブラカマン』という短編には「人々になんとかしてこの学問を信じ込ませることができないものかと考えて、易学の本を擦りきれるほど読み返して知恵を絞った」という一節がありますから、易もかじったかもしれません。
『百年の孤独』のブエンディア一族の始祖、ホセ・アルカディオは乾で、妻のウルスラは坤。全陽の乾と全陰の坤が交わって、ここからすべてが始まるのです。
英語で乾の性質はクリエイティブと訳されることが多いのですが、とにかく初代アルカディオは創造的。ジプシーの知恵を借りて錬金術に打ち込み、海を求めて新たな土地を探したり。3人の子供を抱えたウルスラは、ろくに家にお金を入れないアルカディオに腹を立てながらも、飴細工の商売を繁盛させ一家を食べさせます。坤はレセプティブ。すべてを受け入れる大地の母。遠縁の女の子、レベーカが連れてこられたら引き取りますし、家出した長男と女占い師の間にできた子も育てます。
長男のアルカディオはまさに震。家を出て船乗りになって世界を回り、帰宅したら即、一目惚れしたレベーカと結婚。深い考えはなく、とにかくやることが速いのです。
長女のアマランタは巽。優柔不断で決められません。レベーカに取られてしまった初恋のイタリア人技師が、レベーカと破局したので結婚するかというと、断ってしまいます。次兄のアウレリャノの友人のヘリネルド・マルケス大佐にプロポーズされたのに、これも受け入れません。生涯を独身で通して自分が着る経帷子を時間をかけて織りますが、繊維や織物も巽の象意です。
そして次兄のアウレリャノは坎。自由軍に参加して大佐になり、連戦していた頃は威勢が良かったけれど、結局は実家に引きこもります。金細工の魚を作っては溶かしまた作るという繰り返しは、悶々と悩む坎の姿。大佐時代に各地で女性と交わり17人の子供を作ったというのも、和合や生殖を象徴する坎らしい話です。
離は初代の曾孫にあたる絶世の美女、レメディオス。一目見ただけで男たちが狂ってしまうというこの世のものではない美女です。そして、レメディオスと同じくカーニバルの女王に選ばれレメディオスの弟に嫁いできたフェルナンダも離。レメディオスはシーツにくるまれて昇天するという有名なエピソードはいかにも離。一方、フェルナンダが産んだ子供たちは一族を滅ぼすことになり、離散の離となりました。
三男の艮はレメディオスの兄にあたる双子。アウレリャノ・セグンドとアルカディオ・セグンド。幼い頃から入れ替わりの遊びをしているうちに、自分たちもどちらがどちらなのかわからなくなります。ブエンディア一族に受け継がれた二つの気質が交じり合って終焉へ続いていくのがまさに艮です。
そして三女の兌は、マコンド村で一族がある程度の基盤を作ったところで登場します。一族の遠縁のレベーカ、アウレリャノ・セグンドの娘のメメとアマランタ。深い考えはなく、自らの欲望に正直で思いつきで行動する頭の軽い女の子たちです。
易は東洋の古臭い占いのようでいて、時代や国を越えた普遍性があります。『百年の孤独』にここまで入れ込んでコロンビアまで旅するようになったのも易の効用の一つです。
















