来週の水曜日からスペイン巡礼に旅立ちます。

ここまで来たら、じたばたしてもしかたがありません。パスポートとクレジットカードさえ紛失しなければ、何とかなるでしょう。

巡礼者には占い好きが多く、星座を聞かれたりカードを引いてもらうことがあるというので、お礼に易の卦を立ててあげるかも。易経の洋書もkindleに入れました。話し相手がいなくても、翌日の成り行きなどを易で占っていれば退屈しないでしょう。

今回の旅、「天沢火雷風水山地」の八卦の中で特に意識しているのは風と地です。

六十四卦には順番があり、火山旅の次は風を二つ重ねた巽為風(そんいふう)。火山旅が示すのは現代のレジャーとしての旅ではなく、交通機関もなく宿や食事もどうなるかわからない昔の旅です。自分の家や地元では偉そうにしていても、旅先では腰を低くしてその地の習慣に従わなければなりません。「風」の性質は柔軟であり遠方を象徴。隙間があればするすると入って行き、遠くまで旅します。

カトリック教徒でもないのにスペインの巡礼の道を進むのですから、風のような柔軟さが必要です。人物にたとえれば、温和な性格でコミュニケーション力がある人。熊野古道や四国のお遍路に興味がある巡礼者も多いだろうから、話は弾みそうです。

 

そしてもう一つの八卦は「地」。すべての爻が陰であらゆるものを受け入れる受容性があります。

NHKラジオの英語講座で、謙虚を意味するhumbleの語源は土であり、ラテン語で「低い」を意味すると知りました。東洋も西洋も基本的な概念は共通しているのかも。

スペイン巡礼は初心者だし、わからないことだらけ。異国の地で「地」を意識してへりくだっていれば、親切に教えてくれる人も出現するだろうし、トラブルもなくやり過ごせるのではないでしょうか。

易経の坤為地(こんいち)には「先んずれば迷い、遅れれば得る」という一節があります。人の先に立とうすれば迷うけれど、人の後ろについて行くようにすれば得るものがある。方向音痴の私は、道の曲がり角に来たら、休息を兼ねて後から来る巡礼者を待って教えを乞うほうがよさそうです。そして「地」が象徴する動物は牝馬。おとなしくて従順で、どこまでも歩ける強さがあります。

六十四卦にしてみると地風升(ちふうしょう)と風地観(ふうちかん)。

山や峠もありますが、基本的に平らな大地を進んでいくのでまさに地風升です。そして風地観は「観光」の語源。巡礼を通してスペインの光を観るでしょう。

 

巡礼には「風」「地」以外の八卦すべてがあります。敬虔なカトリック信徒にとっては「天」につながる道ですし、スペイン料理を楽しむのは「沢」、歴史的な建造物を巡ってスペイン文化を学ぶのは「火」、自分の足で一歩一歩進むのは「雷」、旅先での不自由と一人で歩きながらの深い思考は「水」、越えなくてはいけない山や峠は「山」。八卦を心身のすべてで体験する巡礼になるといいのですが、とりあえず「風」と「地」を満喫できれば大成功です。

土曜日のデイリーメッセージ、来週からは7人の方が順に担当してくださいます。スペイン巡礼で開運のネタをたくさん拾えればいいのですが。それでは皆様、よろしくお願いします。

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