一昔前、株式投資はギャンブルのようなものでまともな人間は手を出さないと思われていましたが、時代は変わりました。今や政府が主導して国民に投資を勧めています。

私が株に手を出したのは50代。フリーランスのライターという虚業であっても、額に汗して取材して原稿を書いた対価としてお金を得るものだと考えていました。しかし、出版業界は斜陽化するし、リタイア後は気ままに旅に出たいと願い株に手を出すようになったのです。

水原一平事件でギャンブル依存症にスポットライトが当たりましたが、私にとって投資はギャンブルです。

宗教学者にしてギャンブラーの植島啓司の『運は実力を超える』によると、ギャンブラーに必要なのは「いつも旅しているような生き方」だそうです。ギャンブルにおいては変幻自在に動き常に相手の予測を裏切らなければならないので、明日はどこにいるのかわからないような旅人が勝負に勝てるのです。気ままな旅をしたいから株を始めたのですが、株のために旅を続けなくてはいけないとは。先日、久しぶりに会った編集者に「翡翠輝子は東京の家を引き払って各地を放浪している」と噂されていることを知りました。まさに望むところです。

地道に日常生活を送っているなら、鉄則に従ってインデックス積立を。上がるか下がるかわからない相場に心乱されてはいけません。

ギャンブラーでなくても役立つ植島啓司からのアドバイスは「なるべく多くの人と接する機会を持つこと」。幸運の多くは他人からもたらされるからです。そして「人にお願いをしない」(借りをつくらない)ことが重要です。

 もしかして、ぼくがこれまで幸運だったとしたら、人のお願いは聞くが、誰にも自分のことでお願いをしなかったことが大きな要因だったのではないかと思われる。相手に負担をかけるようなことはしたくなかった。いつも相手からすると、好ましい楽しいことを運んで来てくれる人でありたいと思っていたのである。名前を聞いただけで楽しくなってしまうような存在こそ、わが求めるところであった。

現役時代はとてもこういうわけにはいきませんでしたが、今はこの境地を目指しています。

『運は実力を超える』では西洋占星術にも触れられており、蟹座がいかにダメな人間であるかが力説され、十二星座の悪口一覧もあります。「能天気で、面の皮が厚い」射手座と「簡単に他人から影響されやすく理性とはまったく無縁」魚座を併せ持つ私は、どの旅先でもその地に溶け込んで気ままに生きています。

植島啓司が語る西洋占星術はウラナイ8ブッククラブで紹介していますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

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