旅好きなら、易で火山旅(かざんりょ)が出たらうきうきしたくなりますが、現代の旅とは様相が異なります。一般人も物見遊山の旅が楽しめるようになったのは近代になってからで、易が成立した時代の旅は、ひたすら過酷なものでした。山で野宿し、薪で暖を取る孤独な旅。旅先では親しい人もおらず、心細いことだらけです。

11月の杏子さんの易読み会で、1か月後に予定していた別府旅行の成り行きを占って火山旅の四爻を得ました。気ままな一人旅で、最初の二泊は鉄輪(かんなわ)の湯治宿。街のいたるところから湯煙が上がり、まさに火山旅。近所の八百屋で買ってきた野菜や卵をざるに入れ、地獄蒸しの窯で蒸し上げます。うまく蒸し上がったのですが、一人で黙々と食べるのも火山旅っぽい。

火山旅の爻辞には、資(お金)がよく出てきます。旅先で頼りになるのはまずお金。知り合いのいない旅先では、寝床も食事も対価を払わなくては相手にされません。そんな状況で貴重なお金を減らさないように節約しがちですが、初爻は「旅瑣瑣(ささ)たり、これ、その災いを取る」と戒めています。できるだけ出費を減らして自分だけ利益を得ようというケチケチした態度では、軽蔑されて災いも降りかかるのです。

高島嘉右衛門の易占集で、友人の運気を占って火山旅の初爻を得たとあります。

この友人はドケチなんでしょう。「災害や病気、そして子孫のために節約に努めるべきであるが、倹約し過ぎて出費を恐れ吝嗇になるようではだめだ」「苦しんでいる者を救わず、世間と交際もせずに氏神の祭礼があっても寄付しないとは何事か」「一年の大みそかだけを計算せず、人生の大みそかがあることを胸算用して、それ相応の余財があれば、世間のために使え」と高島嘉右衛門に説教されます。

 

今日は、クリスマスキャロルを歌いに来た少年への寄付も断る強欲なスクルージが改心した日。洋の東西を問わず、クリスマスから大みそかといった時期はお金とのつきあい方を見直すタイミングです。

人生のおおみそかも具体的にイメージできる年代となった私。元から持っている四柱推命の「偏財」の傾向がさらに強まり、天下に回流させて増やしお金をさらに回流させることを目指しています。人生という旅において、来年も財の流れが止まりませんように。

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