マイケル・ルイス『世紀の空売り』。

2000年代半ば、アメリカのサブプライム・ローンが発端となって起こった世界同時金融危機の背景を描くノンフィクションで、映画『マネーショート』の原作です。

登場人物の中で最もユニークなのがマイケル・バーリ。

医学部出身でアマチュア投資家からヘッジファンドに転身したという異色の経歴の持ち主。幼稚園での息子の行動がおかしいというので検査を受けたらアスペルガー症候群と診断され、説明を読むと何から何まで自分にあてはまることに驚きます。

「アスペルガー症候群でなければ、サブプライム・モーゲージ債の目論見書を隅から隅までちゃんと読んだりしない」

アメリカ経済が破綻する方に賭けて空売りを仕掛けるのは凡人にはとてもできないことですが、マイケル・バーリの投資哲学には大いに納得しました。

偉大な投資家になろうと思ったら、自分の身の丈に合った流儀を持たなくてはなりません。ウォーレン・バフェットは、ベン・グレアムのよいところを全部学び取りながら、ベン・グレアムのまねをせず、自分の道へ足を踏み出し、自分のやり方で、自分のルールで金を動かしました。そのことに気づいたとき、わたしはすぐに、偉大な投資家になる方法を教えてくれる学校などないという真理を胸に刻みました。そんな学校があったら、世界一人気のある学校になって、とてつもなく高い授業料を取ることでしょう。だから、そんな学校は存在しないのです。

偉大な投資家の域には達していませんが、お世話になっている税理士からは「プロ並みの投資手腕」と評価されています。相場に手を出したきっかけは東洋占術。吉凶の判断はいくら儲けたかで判断するから、決まった給料しかもらえない勤め人は弟子にしないという九星気学の大家の話を耳にして、それなら自分はどこまでやれるか試してみようと思ったのです。

占い師と相場師はけっこう似ています。『世紀の空売り』に「投資は一つの定石に煎じ詰められるものではない」とありますが、それは占いも同じ。「自分一人にしかできないやり方で学ぶべきもの」。まさにそうです!

ある程度のロジックは学ぶことができても、それから先は自分の身の丈に合った流儀を見つけられるかどうか。「ここで学べばあなたも偉大な占い師」というあおり文句で法外な料金を請求する占い講座はちょっと危険。そして、私のように占い以外の分野で占いを応用して自分の道を見つけるのも一つの方法です。

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