羽田から那覇へのフライト。

那覇空港到着のアナウンスで「羽田へ乗り継ぎの○○様…」と流れると機内がざわっとします。約3時間かけて那覇まで来たのに、とんぼ返りで羽田に戻る?

航空会社がマイレージで会員のランク付けを始めたことにより、マイルを貯めることだけを目的に頻繁に飛行機に乗る人々が出現しました。

旅の楽しみは二の次で、ひたすら搭乗を繰り返して狭い機内でじっと耐える。金銭的な負担もばかになりません。その姿が、解脱を求めて苦行に耐える修行僧に重ねられ、「マイル修行」と呼ばれるようになりました。

2020年、私も思い立って修行の道に入りました。春頃からコロナ禍となり、修行には大変な逆風が吹きましたが、なんとか解脱を果たしJALグローバルグラブ(JGC)会員に。毒を食らわば皿までと、初年度でいきなり上級会員という荒修行でした。

JGC会員にはダイヤモンド、プレミア、サファイアなどさまざまなステータスがあります。大雑把には上級会員と平会員。羽田や伊丹、札幌、福岡などの主要空港にはラウンジが2つあり、上級会員はファーストクラスラウンジ、平会員はサクララウンジとなります。

平会員のステータスは会費を払い続ければ維持できますが、上級会員は修行を続けなくてはなりません。

 

たとえば搭乗順序。体の不自由な人や子連れに続いて呼ばれるのは、優先搭乗のグループ1。これが上級会員です。続いて平会員のグループ2。その後、修行とは無縁の人々が後部座席ゾーンから呼ばれます。

早く搭乗するのに何のメリットがあるかというと、座席の上の荷物入れを確保できること。荷物入れは場所が決まっていないので、混んでいる便では離れた場所にしかスペースがないこともあるのです。

というのは表向きの理由で、優先搭乗はやはり気分がいいというのがJAL信者の本音でしょう。日本は格差社会になったと言われますが、飛行機や船の世界は乗客にはっきりしたランク付けがあります。

 

修行を繰り返すことができず、上級会員から平会員にランクダウンしてしまったのですが、気楽でいいポジションだと思います。空いている便にグループ1で搭乗すると、CAさんに大お得意様だと思われて話しかけらることが多いのですが、クラスJシートではなくエコノミー席に座るのがちょっと恥ずかしくなります。ラウンジのビールはエビスやプレミアムモルツからランクダウンしましたが、搭乗前には深酒を控えるべきなのでちょうどいいし。

 

「快適に旅を楽しみたい」はずだったのに、「会員ステータスの維持」に置き換わっているマイル修行。改めて手段と目的をはき違えてはいけないと思います。

たとえば、外国語でのコミュニケーションが目的で、その手段としてテキストで勉強していたら、いつしかテキストのページ数をこなすことが目的になっている状態。あるいは、開運するために占いを学び始めたのに、学んだだけで運気は停滞したままとか。「学ぶこと自体が楽しいからそれでいいんです!」なら、それもいいのですが、せっかく語学を学んだのなら、ネイティブの人と話したらもっと楽しくなりモチベーションが上がります。そして、いつも占われてばかりではなく、ちょっとしたイベントなどで占う側を体験するのは、新しい世界への大きな第一歩となります。

開運法もできる範囲で実践してみてはどうでしょうか。遠方の吉方まで行かなくても、普段の生活圏から出てアウェイ感を抱く場所なら、方位取りとなります。いいと思ったことは負担にならない程度で、すぐやってみる。そんなフットワークの軽い人が幸運をつかめます。

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