対面鑑定をやっていた頃、よくこんな質問を受けました。
「好きな人には恋人がいる。いつ別れるでしょうか」
「上司とうまくいかない。いつ上司は転勤になるでしょうか」
目の前にいない人の運気まで占えません。本人の恋愛運や仕事運を見て、「彼よりもっといい人が現れるかもしれない時期」や「仕事の結果を出して上司の態度が変わるかもしれない時期」でお茶をにごしていました。
中国系のアメリカ人の女流作家、エイミ・タンの名言。
If you can’t change your fate, change your attitude.(運命を変えられないのなら、態度を変えなさい）
fateをどう訳すか迷うところです。人間の力ではどうにも変えられないので宿命としたほうが正確でしょう。似たような単語でdestinyがありますが、fateは不吉なことが多いのに対し、destinyは持って生まれたお役目を果たすようなポジティブなイメージです。
タロットの運命の輪はwheel of fortuneですが、fortuneはラテン語で偶然を意味するforsの変化形。運命ほど重い言葉ではなく、幸運という意味合いが出てきます。占い師はfortune tellerですから、不運より幸運を告げることが期待されるのでしょう。
エイミ・タンの言う通り、fateは変えられません。片思いの相手や苦手な上司も変えられません。変えられるのは自分だけ。「どんな状況になろうとも、自分を貫く」という頑固な方もいらっしゃるでしょうが、何も全面的な人格改造をする必要はありません。ちょっとした習慣や態度を変えるだけで、流れが変わります。占いはそのヒントに満ちています。
