先週のデイリーメッセージ「人生を支える物語」の続きです。

ある心理学者の研究では、夫婦同席のインタビューで語られた内容を分析すれば、94%の精度で離婚するかどうかが予測できるそうです。決め手となるのは、二人のなれそめから結婚、その後の生活について二人の歴史を語れるかどうか。共通のストーリーを持っていれば、喧嘩することはあっても「この物語を終わらせるわけにはいかない」と離婚を思いとどまる確率が高くなるのでしょう。

ネットの掲示板で「マッチングアプリで条件がぴったりだったので結婚したけれど、離婚を考えている」という相談を目にしたことがあります。夫婦で共有する物語が作れなかったのです。こういう時こそ占い師に二人の相性を聞いてみるといいのに。悪いなら悪いなりに、なぜ二人が一緒に生きていかなければならないか、ストーリー化できます。

子どもの幸福度も、いい学校やおもちゃやゲーム、エンタメではなく、家族史を知っているかどうかが有効な指標になるそうです。親を亡くした子が施設で十分なケアをうけても幸福を感じられないのはこのためですし、「お父さんとお母さんはお互い高望みせず、妥協して結婚した」なんて聞かされたら子どもは自分が生まれてきた意味がわからなくなるでしょう。

 

独身で子供を持たない人にも物語は重要です。

たとえば、自分の死がそう遠くないと意識するだけでも、ストーリーは変わってきます。クリスマス・キャロルの登場人物の名前を取って「スクルージ効果」と呼ばれますが、死をイメージすれば他者に対してより親切で寛大になれるそうです。

死んでしまえば通夜や葬式で話題に出るのは「どれだけ儲けたか」「出世したか」より、「善人だったか」「誠実だったか」「何に夢中だったか」といった内面的な性質やその人だけが持っている個性です。

コラムニストのディビッド・ブルックスが人間の美徳を「履歴書向きの美徳」と「追悼文の美徳」の二つに分けていますが、占い師が担当するのは追悼文のほうでしょう。どんなふうにその人の人生を語るかが、占い師の腕の見せ所です。

 

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